日銀が、これまでの量的緩和策に加えて、マイナス金利を追加したことで、あらためて中央銀行の存在について注目が集まっています。中央銀行はいくらでもお金を刷ることができる魔法の杖などともいわれていますが、通貨制度の仕組みが難しいということもあって、イメージだけが過剰に膨らんでいる面もあります。そもそも日銀とはどのような存在なのでしょうか。

金本位制は絶対的に安心できる制度なの?

金本位制は絶対的に安心できる制度なの?

 現在、日本を含めて多くの国が金本位制を採用していないことから、日銀はいくらでもお金を刷ることができると思われています。しかし日銀は何の担保もなくお金を刷ってよいわけではありません。国債など金に代わる資産がなければ新しくお金を刷ることはできない仕組みになっています。国債は国会の議決がなければ発行できないものですから、政府が機能しているうちは、十分な担保になるわけです。

 世の中には金本位制は絶対的に安心できる制度と考えている人がいますが、必ずしもそうではありません。金の価値は産出量という、人間にはコントロールできない部分に左右されてしまいます。実際、16世紀の時代には、南米から大量の金や銀が欧州に流入し、インフレが一気に進んだ例があります(価格革命)。

 また、金とお金の兌換比率はそうそう変えられませんから、不景気になって貧困者がどれだけ増えても、金融面で景気を刺激することができず、その状態を放置することになってしまいます。現代においては、人の手で管理できる今の通貨制度の方が、安定感があると考えられています。

日銀にとって紙幣は負債

 ところで、私たちは、お金は資産だと思っていますが、日銀にとっては異なります。日銀にとって紙幣(日本銀行券)は負債とみなされます。これは直感としてピンとこないかもしれませんが、以下のように考えるとよいでしょう。

 日銀に金や国債といった資産を持っていくと、それを預かってくれるのですが、その預かり証書が紙幣ということになります。紙幣を持っている人は、日銀がいつでも資産の返還に応じてくれるという安心感があるので、ただの借用証書にすぎない紙幣を価値のあるものとして扱ったり、資産として貯蓄したりしているわけです。

 日銀にとってみれば、紙幣を持ち込まれた場合には、持っている資産を返却しなければなりませんから、これは負債という扱いになるわけです。日銀のバランスシートを見ると一目瞭然ですが、資産の項目には、国債や金地金が計上され、負債の項目に日本銀行券が計上されています。