[イメージ画像]アイドルにはコンサートのためのレッスン代や衣装代など多額の費用がかかるなどの側面も(アフロ)

 ファンとの交際を禁じた規定に違反したとして、マネジメント会社が、アイドルグループのメンバーだった女性らに約990万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1月18日、東京地裁であり請求が退けられました。一方、別のマネジメント会社が別の元アイドルへ起こした同様の訴えに対して、昨年9月にはアイドルへの損害賠償を一部命じる判決が出ています。恋愛は豊かで幸せな人生を送るためにも、人間にとって大事なことです。交際禁止規定にサインしてアイドルになると、本当に恋愛をしてはいけなのでしょうか?

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「交際禁止規定」って一体何?

[写真]レイ法律事務所の佐藤大和弁護士

 そもそも報道されている「交際禁止規定」とはなんでしょうか。それはアイドルとマネジメント会社が交わす業務委託契約書(マネージメント契約書)に盛りこまれる、「ファンと交際をした場合、またそれによりマネジメント会社が損害を受けた場合は直ちに損害賠償請求できる」といった条項のことです。

 アイドルビジネスは、ファンがアイドルを恋人やあこがれの対象として、疑似恋愛をすることで成り立っている側面もあります。アイドルを好きだからこそ応援し、コンサートへ行ったり、グッズを買ったりするのです。もし恋人がいたら、ファンの心が離れることもあり得ます。レイ法律事務所の佐藤大和弁護士も「お笑い芸人さんや俳優さんと比べ、アイドルは処女性を大事にしているのは事実です。その処女性を出して売り出すなかで恋愛が発覚すると、ファンに与える影響は少なからずある」と指摘します。

 事務所側もビジネスとしてアイドルを売り出しますので、このよう損害を未然に防ぐために交際禁止規定を結ぶことがあるのです。ただ最近は、「『男女交際全般を禁止する』規定というよりは、ホテルで撮影されたようなセンセーショナルな写真流出や不倫などの、社会的なモラルに反する行為の禁止に限定することが多い(佐藤弁護士)」ようです。

アイドルに損害賠償を求める背景は?

 このような規定をつくる背景には、アイドルを育て人気者にするには、相当なお金がかかるという現実があります。佐藤弁護士は「ライブ中心のアイドルであっても数十万円単位。 それこそ大手プロダクションになれば数百万〜数千万円の資本を投入することもあります」と話し、衣装代やレッスン代以外にもマネージャーの人件費など多額の費用がかかることを指摘します。このように大事に育てたアイドルの“交際発覚”は、コンサートのチケットやグッズの売り上げの減少に直結しますので、なんとしても避けたいのがマネジメント側の心情です。そして、もし発覚して損害を被った場合は、アイドルから回収したいと考えるのは無理もないかもしれません。