リオ五輪アジア最終予選 決勝での室屋(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

 リオ五輪アジア最終予選、イランとの準々決勝の延長前半6分――。右サイドで相手選手と1対1になった室屋成(21)がフェイントを仕掛けて左足から鋭いクロスを放ち、豊川雄太のヘディングゴールを導いたシーンは、今大会における手倉森ジャパンのハイライトのひとつである。

 その室屋が2月6日にFC東京とプロ契約を結び、8日に在学中の明治大で会見を行なった。
 4月から新4年生となる室屋は、明治大体育会サッカー部を退部するものの、大学には籍を置いたまま、大学生Jリーガーとなる。
 大学生Jリーガーとして記憶に新しいのは、長友佑都(元明治大)と武藤嘉紀(元慶應義塾大)だろう。長友は08年に、武藤は14年に、いずれもFC東京と卒業を待たずにプロ契約を結び、レギュラーとして活躍した。
 室屋も彼らと同じように在学中にプロ選手になったが、ふたりとは事情が異なる。
 
 長友は東福岡高から指定校推薦で入学、武藤は慶應義塾高から内部進学だったため、サッカー部と話し合って退部が認められさえすれば、プロに進むことに障害はなかった。ふたりはいずれもその後、大学を卒業している。

 一方、室屋の場合はスポーツ推薦での入学、つまり、4年間、サッカー部で活躍することが前提の入学なのだ。室屋自身も常々「上でやりたい気持ちはありますけど、僕はサッカー推薦なので、話し合ってみないことには、どうなるか分かりません」と語っていた。それでも今回、円満にプロ入りが認められたのは、「大学側の理解が大きい」とサッカー部を率いる栗田大輔監督は説明する。

「スポーツ推薦で入った選手がサッカー部を途中で退部してプロに行くのは初めてのケース。ただし、彼は1年の頃からしっかり単位を取得してきたし、オリンピックは年齢制限があって一生に一度だけ。その大きなステージを経験させてあげたい。それを学長、理事長も含めて大学側に順を追って説明し、ご理解をいただき、プロ入りが実現しました」

 室屋も「監督をはじめ、サッカー部の関係者、大学の関係者のおかげです」と改めて感謝の気持ちを表した。