第2戦までを終えた米大統領選の候補指名争いには、ある異変があります。アイオワで勝利した共和党のクルーズ氏、今回のニューハンプシャーを制した共和党のトランプ氏、民主党のサンダース氏。彼らはそれぞれの党でメインストリームの政治家ではなく「非主流派」の存在です。彼らは、より保守寄り、よりリベラル寄りに先鋭的な立場を掲げ、お互いに距離があることも特徴です。なぜ両極端で、異端な彼らが支持を集めるのか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に寄稿してもらいました。

【図】アイオワ大接戦で注目 米大統領選の「党員集会」と「予備選挙」って?

「主流派」と「非主流派」とは?

[写真]ワシントン政治の打破に期待が集まるトランプ氏(ロイター/アフロ)

 米大統領選に向けた候補指名争いの第2戦となるニューハンプシャー州の予備選は、共和党ではドナルド・トランプ氏、民主党ではバーニー・サンダース氏が勝利。「非主流派」の躍進が目立つ今回の大統領選を象徴する結果となった。

 そもそも「主流派」「非主流派」とは何か?

 アメリカは「自由」を非常に重んじる社会である。それゆえ政府の介入にはもともと懐疑的な傾向がある。こうした政治風土にあって、より「小さな政府」を掲げ、減税や規制緩和、市場競争、教会の役割などを重視するのが保守政党である共和党だ。逆に、自由放任はかえって人々を不幸=不自由にするとして、より「大きな政府」を掲げ、社会的弱者の権利擁護や格差是正を重視するのがリベラル政党である民主党だ。

 共和党の「主流派」はジェブ・ブッシュ氏、ジョン・ケーシック氏、クリス・クリスティー氏、マルコ・ルビオ氏などである。「非主流派」はさらに2つに分かれ、前回のアイオワ州の党員集会で勝利を収めたテッド・クルーズ氏のような「保守強硬派」がその1つである。キリスト教保守派(福音派)や経済保守派(茶会=ティーパーティ派)などの支持が厚い。もう1つはトランプ氏のような「アウトサイダー派」である。政治経験は皆無で、2009年までは民主党員だった。

 かたや、民主党の「主流派」はヒラリー・クリントン氏であり、「非主流派」はサンダース氏である。サンダース氏は「反戦平和主義者」や「民主社会主義者」を自認し、大手金融機関の解体、公立大学の授業料無償化、国民皆保険の導入などを掲げている。クリントン氏がイラク戦争を支持し、ウォール街(金融業界)と関係が深い点を攻撃しており、かつての「ウォール街を占拠せよ」運動などとも親和性が高い。

 では、なぜ「非主流派」がこれほどまでに注目を集めるのか。