筆者が巨人の宮崎キャンプを取材に訪れた13日は、運よく長嶋茂雄終身名誉監督がキャンプ地を激励に訪れた日と重なった。長嶋氏は練習前には選手の円陣に入ってメッセージを伝え、全体練習が終了するまで愛弟子の松井秀喜氏と共に精力的に動き回り、アドバイスなどを送っていた。

 球場を引き上げる際に、報道陣に囲まれ、期待の2年目、岡本和真内野手についての感想は語ったが、続けて「清原さんが、ああいうことになりましたが」と、覚せい剤所持容疑で逮捕された清原和博容疑者についての関連コメントを求められると、急転、表情を曇らせ、一言も発言せず、再度質問を受けたが、ノーコメントを貫いたまま迎えの車へ乗りこんだ。

 長嶋氏は、清原容疑者の巨人入りの道筋を作った監督である。1996年オフに清原容疑者が西武からFA宣言をすると、阪神が猛攻勢を仕掛けたが、当時の長嶋監督が2度目の交渉で直接出馬。「将来、君には巨人の中心を担う役割を果たしてほしい。思い切って僕の胸に飛び込んで来てほしい」という名文句で口説き落とした。当時、一塁でポジションがかぶる落合博満氏の処遇が問題となっていたが、落合氏は、自ら自由契約を求めて退団、日ハムへ移籍した。

 長嶋氏は、清原容疑者を4番で起用。長嶋氏が勇退する2001年までの5年間を監督、選手の立場で共に過ごした。長嶋氏は、数々の雑音が聞こえていた清原容疑者のその後を気にかけていて、今年、1月11日に福岡で行われた名球会のイベントで顔を合わせると「いつも君の話をしていたんだ。まだまだ若い。頑張るんだぞ」と、熱い言葉を贈り、清原容疑者を感激させていた。その直後の逮捕劇となっただけに、長嶋氏の心中が複雑であることは察して余る。

 筆者は、星野仙一・楽天副会長とも、あれこれと雑談はしたが、長嶋氏と同様に正式なコメントは口にしなかった。球界の重鎮では、ソフトバンクの王貞治会長がメディアからコメントを求められ、「とにかく残念です、あれだけのスターが」とだけ語ったが、それ以上の話はなかった。現役時代の清原容疑者と一時、親交のあった阪神の金本知憲新監督も、関連コメントを出していない。