乗務員なしで走行する「ロボットタクシー」の開発が進んでいる。取り組むのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)と、自動運転技術を開発するベンチャー企業ZMPとの合弁会社である「ロボットタクシー」(中島宏社長)。過疎化・高齢化する地域の「足」になることをビジョンに掲げ、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の運行開始を目指す。

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無人タクシーの実現に期待する地方自治体

開発が進むロボットタクシー(提供:ロボットタクシー株式会社)

 携帯端末で目的地を指定すると、待っている場所に乗務員のいない無人タクシーがやってきて、交通情報などから最短ルートを割り出して発車する。これが、ロボットタクシーが想定する運行イメージだ。

 DeNAとZMPがロボットタクシーの設立を発表したのは、昨年5月12日。DeNAの執行役員 オートモーティブ事業部長で、ロボットタクシーの中島宏社長は「発表後、各地の地方自治体から『交通課題の解決につながるので、ぜひこちらでサービスを展開してほしい』という声が相次いで届きました」と振り返る。

 地域の足ともいうべき公共交通網が縮小しつつある。平成26年度国土交通白書によると、平成19年度以降で、路線バスは約10,206km、鉄道は約186kmの路線が廃止されている。過疎化の進展と自家用車の浸透で輸送人員が減少すると、事業者は減便、撤退を余儀なくされる。また、タクシー会社は乗務員の確保が難しい傾向にあり、車両を増やして輸送能力を高めることは困難なケースが多いとみられる。

 自家用車を持っていたとしても、高齢化によって視野が狭くなるなど、いつまでも運転できるとは限らない。しかし、運転免許を手放すと通院も買い物も困難になる。過疎化と高齢化が進む中、交通の利便性をどう保つかが大きな課題となっている。

 こうした状況に対し、ロボットタクシーは、自動運転技術を使用した無人タクシー事業を過疎化や高齢化が進む地域で展開することを目指している。無人なので、乗務員不足に悩むことなく、地域の需要に応じて車両を増やすことが可能なほか、運賃面でも、中島社長は「従来のタクシー事業では人件費が原価の約70%を占めるといわれますが、乗務員の人件費がかからないロボットタクシーが実現すれば、安価な交通手段を地域に提供することが可能」と利点を強調する。

 2月末から神奈川県藤沢市で行う実証実験では、運転手が乗車するものの、あらかじめ決められた区間では自動運転を行う。こうした実証実験やサービスの検証などを積み重ねて、無人タクシー事業の開始を目指す。