[写真]サウスカロライナ州での敗北を受け、共和党大統領候補氏名争いからの撤退を表明したジェブ・ブッシュ氏(ロイター/アフロ)

 米大統領選の共和党指名候補争いは、2月20日のサウスカロライナ州予備選でドナルド・トランプが連勝し、昨年夏までは最有力候補だったジェブ・ブッシュ(元フロリダ州知事)が撤退しました。激しい戦いが続く共和党の指名候補選びは今後どうなっていくのでしょうか。予備選序盤の動向をこれから2回にわたって考えてみます。第1回目は、今後の選挙戦を左右すると考えられる共和党内の「保守本流」といわれる層がどう動いていくのか、についてです。(上智大学教授 前嶋和弘)

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“超保守”クルーズと型破りなトランプ

 まず、現在の共和党の候補者の支持層をまとめてみます。

 ドナルド・トランプは自分では「保守」と断言しているものの、過去の発言などを見ると、少なくとも伝統的な保守とは大きく異なっています。実際、トランプが現在訴えている政策のなかにも「小さな政府」志向とは言えないようなものもいくつもあります。例えば、年収2万5000ドル未満の独身者や夫婦で5万ドル未満の世帯には、所得税を免除するという方針は中間層から中間層下位の人々に対する政府による救済に他なりません。そのほか、富裕層増税や公共事業の拡大などもトランプは訴えています。

 これをもって、トランプそのものは、実はかなりのリベラル派であるという見方もありますが、トランプを支持している層がどんな人たちなのか、なかなか読みにくいところです。トランプの支持層は「政治に不満を持っている白人ブルーカラー」といわれていますが、一枚岩とはいいがたく、 “テレビの有名人”の 型破りの言動を支持する興味本位の人たちも少なくないはずです。

 トランプに次ぐ、代議員の数を獲得しているのが、テッド・クルーズ上院議員です。詳しくは次回に説明しますが、テッド・クルーズの支持基盤となっているのが、ティーパーティ運動、宗教保守、さらには軍事的タカ派という、共和党内の3つの保守層です。つまり、“超保守”というのがクルーズの位置づけです。

 このように、トランプとクルーズの支持者は、本来は共和党の主流であるはずの層とは少し異なっています。それもあって共和党内の「保守本流」といわれる層がどのように動いていくのかに様々な憶測が流れていました。保守本流についての正確な定義はないものの、共和党内の中道で穏健派のことを意味します。