原油安の影響はどこまで広がっているのか?(写真はイメージ、提供:アフロ)

 2月以降の金融市場の混乱は、ドル高・原油安の影響が複雑に絡み合った結果といえます。最近、投資家の不安を増幅しているのは、エネルギー企業の苦境とそこにおカネを供給していた金融機関・投資家がともに痛手をこうむるというシナリオです。

 不安をあおる意図はありませんが、円高・株安が進んだからにはその理由を究明し、その原因となったデータを直視することも必要でしょう。今回は原油安の影響がどこまで広がっているか、詳しく説明します。

いちばんわかりやすいマーケット予想

エネルギー関連企業の資金調達にも影響

原油価格とドルインデックスの推移

 米国経済は2014年後半からドル高、原油安、ハイ・イールド債下落(信用格付けの低い企業が発行する社債の利回りが上昇)という事態に直面してきました。

 ドル高、原油安は米国全体でみれば好影響もそれなりに大きいのですが、エネルギー関連企業に限ってみると深刻な問題です。そうしたなか、資金調達を借り入れや社債発行に頼ってきた信用力の低いエネルギー関連企業がいよいよ窮地に追い込まれるのではないかという懸念が高まっています。

 エネルギー関連企業に信用不安が生じると、その企業の株価が下落するのはもちろん、そこへ資金を投じていた銀行やファンドなどの収益に投資家の疑念が広がってしまいます。そうした不安を浮き彫りにしているのが、ハイ・イールド債市場からの資金流出です。ハイ・イールド債はリスクが高い分、世界的低金利の中で高利回りが獲得できる数少ない選択肢のひとつとして人気を集めてきました。リーマンショック後、米国10年債利回りが概ね2%±1%程度のレンジで推移してきたのに対し、ハイ・イールド債は最も利回りが低いときでさえ、5%程度の利回りが確保できたので低金利の運用難で行き場を失った資金が流入しました。

ハイ・イールド債利回りの推移

 こうした世界的低金利は信用力の劣る企業にとって好都合でした。本来、信用力の劣る企業はそれに見合った高い利息が要求されるわけですが、行き場を失ったマネーが少しでも魅力的な利回りを求め流入してくるため、比較的低金利で資金調達ができたからです。

 投資家は国債や優良企業の社債では満足のいくリターンを獲得できないので、多少のリスクを承知のうえで低格付け企業の社債、つまりハイ・イールド債を買い集めました。そこにエネルギー関連企業の社債が多く含まれていたというわけです。ハイ・イールド債市場におけるシェアは2014年初時点15%程度でした(価格下落によって現在は13%)。