カトリック教会のフランシスコ法王が、このところ国際政治に対して積極的に関与しています。かつて中世の時代、ローマ教皇は各国の国王をはるかに凌ぐ絶大な権力を持っていました。フランシスコ法王は、初のイエズス会出身の法王なのですが、国際問題への関心は極めて高いようです。

トランプ氏の移民政策を批判したローマ法王(代表撮影/ロイター/アフロ)

 今月12日、フランシスコ法王は、ロシア正教会のトップであるキリル総主教と歴史的な会談を行いました。ロシア正教トップとの会談は、キリスト教会が東西に分裂して以来、約1000年ぶりのことですが、この会談が重要な意味を持っているのは、それだけではありません。会談の場所がキューバの首都ハバナだったからです。

 昨年、米国は50年以上にわたって国交を断絶していたキューバとの関係を正常化したのですが、米国とキューバの国交正常化を仲介したのは実はカトリック教会です。

 キューバは、革命勃発後、旧ソ連に接近し、カトリック教会を弾圧しました。しかし、前法王のベネディクト16世がキューバを訪問しカストロ議長と会談。昨年9月には、フランシスコ法王もカストロ氏と会談し和解が進んでいます。カトリック教会がキューバとの関係回復に熱心なのは、キューバという存在が、今後の米国政治、ひいては国際政治において非常に重要な役割を果たす可能性が高いからです。

 米国では、キューバ系などヒスパニック系(スペイン語圏に属する中南米系)の人口が急増しており、2060年には、ヒスパニックを含む、非白人系の人口が全体の6割に達する見込みです。すでにカリフォルニア州など移民が多い州では、白人の人口をヒスパニック系の人口が上回っています。米国では英語に加えてスペイン語の案内があるのは当たり前ですし、今年の大統領選ではキューバ移民2世であるルビオ氏が共和党の指名争いに参加しています。ヒスパニック系の多くはカトリック教徒ですから、カトリック教会は宗教を通じて、世界の覇権国家である米国に影響力を行使できるという図式になります。