保育所の入所申請をして条件を満たしているにもかかわらず、入所できない状態にある待機児童は2万1371人(2015年度)。女性の活躍促進が政策目標に掲げられる中で、「待機児童ゼロ」の目標は早急に実現すべく、保育園の増設が望まれています。

 現在は入園できればラッキーであり、とても保育園を選べる状況ではないかもしれません。しかし保育施設の安全対策が不十分で子どもが被害に遭うニュースを目の当たりにすると「ウチの保育園は大丈夫?」と急に心配になってきます。

 約3万件の保育施設などの事故を見てきた脇貴志さんは「保育園には知られざる危険があふれている」と訴えます。この連載では世間にはびこる「ブラック保育園」の実情とその問題の根源、そしてどう付き合っていくのか解説していきます。

ブラック保育園とは?

 ブラック保育園とは、安全対策を施していない、あるいは安全対策が的外れであったり、不十分であったりするために安全面に不安を抱えている施設のことを言います。

 ブラック保育園というと、園側の方は「ウチの園はブラックかな?ホワイトかな?」と考え、子どもを預けている保護者の方は「私の子どもを預けている園はブラックじゃないかな?大丈夫かな?」と思いを巡らすのではないかと思います。

 実際にはそのような詮索はあまり必要ではなく、基本的にすべての保育施設はブラックだと考えていただいて結構です。なぜなら、施設側が安全に関する対策を何も施していなければブラックだからです。基本的にはブラックである施設を安全対策によってホワイトにしていかなければブラックのままなのです。

なぜブラックなのか?

あなたのお子さんの保育園は大丈夫?(写真はイメージ、提供:アフロ)

 ここで保育施設が、なぜ基本的にブラックなのか説明いたします。理由は4つあります。1.保育施設に預けられている子どもの体は成長途上にあること。2.1と同様に頭も危険予知や危険回避する施行ができないこと。3.保育施設は多数の園児を同時に預かるため集中リスクの状態にあること。4.保育施設で働く職員は専門的な安全教育を受けていないこと。以上4つの理由により、保育施設は基本的にリスクが高いブラックの状態にあるのです。

 3と4についてもう少し詳しい説明をします。「卵は1つのバスケットに入れるな」というのは分散投資をする際の格言です。すべての卵(全財産)を1つのバスケット(投資商品)に入れると、万が一、そのバスケットに何かが生じ、地面に落ちたらすべての卵は割れてしまう。だから、大切な卵はいくつかに分けて、複数のバスケットに入れて管理しましょう(この考え方をリスク分散といいます)という、集中リスクに対する注意を喚起するフレーズなのです。

 現在の保育環境は、特に都市部では保育を必要としている子どもの数に対して施設の数が不足していることから待機児童も多いため、1つの施設に預け入れられる子どもの数は増え、集中リスクの状態はさらに高まっています。そもそも体が未完成で自分の身に迫る危機の予知も回避もできない子どもを1カ所に集めて安全に保育すること自体難しいのですが、子どもの人数が増えることによって、さらにその難しさが高まっているのです。

 だからと言って、少人数に分けた保育施設ばかりにすると場所もコストもたくさん必要になりますし、そもそも集団保育のよさもなくなります。したがって、この集中リスクの問題は解決できないものなのです。