[写真]2月26日、米大統領選の共和党候補指名争いから撤退したクリスティ氏(右)がトランプ氏支持を表明した(ロイター/アフロ)

 2月1日のアイオワ州党員集会から本格的にスタートした米大統領選の候補者指名争い。現段階で、共和党はトランプ氏、クルーズ氏、ルビオ氏ら5人の争い、民主党はクリントン氏、サンダース氏の一騎打ちの情勢になっています。

 各候補とも、党の代表候補としての指名を勝ち取るために、それぞれの党内で過半数の代議員獲得を目指して(※1)、全米各州を巡る長いレースを戦っている最中ですが、その最大のヤマ場となるのが3月1日の火曜日(※2)に行われる「スーパーチューズデー」です。

 スーパーチューズデーは候補者指名争いレースの中でなぜ重要な意味を持つのか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に、歴史を振り返りながら解説してもらいました。

【写真】トランプ氏にサンダース氏 「異端」が躍進する米大統領選

サンダース氏、クルーズ氏は正念場

[図]米大統領選の流れ

 11月の米大統領選に向けた共和・民主両党の候補者指名争いの最大のヤマ場となる「スーパーチューズデー」が3月1日に開催される(大勢判明は日本時間の2日)。各候補にとっては1日で最多の代議員を獲得できる大一番の火曜日だ。

 もともとは1988年の民主党の候補者指名争いの際に名称で、南部諸州が地域の意向を反映させるべく結束したことに由来する。2月~3月上旬の火曜日に開催され、今回は両党ともに10以上の州で予備選が行われ、南部16州のうち7州が参加する。

[図]民主党と共和党の候補者指名争い

 「スーパーチューズデー」は2つの点で重要だ。

 まず、第1に、各候補が全米レベルの戦いに耐え得る人物か試される点だ。2月1日のアイオワを皮切りに、これまでニューハンプシャー、サウスカロライナ、ネバダと4つの州で別々の日に予備選が行われてきた。各候補は1つ1つの州に何十回と足を運び、ドブ板選挙を繰り広げ、テレビ広告に資金を重点投下することができた。1州だけの戦いであれば、たとえ知名度・資金力・組織力に乏しくとも、戦術面で補うことも不可能ではない。しかし、10以上の州にまたがる広大かつ多様な地域で同時開催される「スーパーチューズデー」となるとそうはいかない。

 例えば、民主党のバーニー・サンダース上院議員が3月1日に地元バーモント州や隣のマサチューセッツ州しか取れないとなると「所詮、革新的な白人が多く暮らす小さな州しか取れない候補」と見限られることになろう。あるいは、共和党のテッド・クルーズ上院議員が自らの拠り所であるキリスト教保守派(福音派)の多い南部諸州で大躍進できなければ、3月上旬以降、より穏健派の多い州へと戦いの舞台が移るにつれ勝算はますます遠のく。万一、3月1日に地元テキサス州を落とすことになれば致命的だ。僅差での勝利なら事実上の敗北に等しい。