原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)の長谷川健一・武藤類子両共同代表と、ピースボートの川崎哲氏は3月1日、東京の外国特派員協会で会見した。長谷川氏は、来年3月の避難区域解除に向けて取り組む国に対し、「事故の幕引を早く行い、なかったことにしようとしている」と懸念を表明。武藤氏は明日、政府に対して、被害者に対する住宅無償提供の継続など、3つの緊急要求を行うと説明した。

【中継録画】福島原発事故から5年、被災者団体の団長らが会見

会見する原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)の長谷川健一共同代表

 ひだんれんは、東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原発事故の被害者団体が2015年5月14日に結成した全国組織。長谷川氏は、飯館村民救済申告団の団長を務めている。事故後、8人が同居していた家族は3か所に分かれ、自身は伊達市の応急仮設住宅で暮らす。

 今の現状について、長谷川氏は「われわれの村は、原発の恩恵は何もないにもかかわらず、事故によって放射能だけがやってきた。村がひどく汚染され、まだ避難をし続けている。家族はバラバラにされ、仮設住宅に閉じ込められ、故郷はひどく汚染され、いつ戻れるのかもわからない。そのような状況の中で不安感がストレスとなって表れている」と訴えた。

 また、長谷川氏は、「国は来年3月で避難区域を解除しようとしているが、わたしが現在の飯館村の汚染度がどの程度なのか不審感を持っている」として、飯館村で独自に土壌調査を実施した結果、1kgあたり26,000ベクレルと、国の基準の3倍以上の放射線を検知したと説明。「国はいかにして早く事故の幕引きを行い、なかったことにしようとしているかが目に見える」などと、国の動きに懸念を示した。

 一方、武藤氏は、ひだんれん結成の理由について、「年月が経つにつれ、国や東京電力が反省せず、救済しようとせず、子供たちの健康を守ろうとしない現状を見て、被害者が繋がらないと何も変わらないという思ったから」と説明した。

 武藤氏は、ひだんれんが明日、政府に対して、(1)被害者への住宅無償提供を来年3月に打ち切る方針の撤回、(2)年間の追加被曝線量が1mSvを下回ったことが実証されない限り避難指示を継続、(3)原発事故子供被災者支援法に追加した「帰宅困難区域以外は避難が必要な地域ではない」という条文の撤回、の3つの緊急要求を提出すると表明。

 また、原発事故に関連し、検察審査会から起訴議決を受けた東京電力の勝俣恒久元会長ら元幹部3人が東京地裁に強制起訴された件についても触れ、「東電や国は原発事故の真実を隠し、被害をなきものにしようとしているが、市民がそれを許さず、刑事裁判の扉を開いた。責任が問われるべき被告人に、公正な判決が下されると信じている」とした。このほか、川崎氏は原発事故の実態や、可能な対応などを記したブックレット「福島10の教訓」を紹介した。

 質疑応答では、「強制避難は必要なかったのでは」との質問に対し、長谷川氏が「低線量被曝についてはよく解明されていないのが現実。万が一を考えた対応が必要」、武藤氏が「予防原則に立って、われわれは避難すべきだった」とそれぞれ反論した。

(取材・文:具志堅浩二)