岩手県釜石市の野田武則市長は3月1日、東京の外国特派員協会で会見した。野田市長は、市民の住宅再建や地域経済の活性化などの現状を説明。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップを、世界に向けて震災の教訓を発信する機会とする考えを示した。

会見した岩手県釜石市の野田武則市長

 震災から5年が経過し、野田市長は「残念ながら、被災者が仮設住宅で不自由な生活をしている状況に変わりはない。被災者の住まいや暮らしの一刻も早い再建に向けて、鋭意努力しているところ」と述べた。

 住まいの再建に向けては、復興公営住宅約1300戸分の建設を進めており、現在約400戸が完成。約4000ある被災世帯のうち、1300世帯が入居を希望している。入居先は抽選会で決めているが、「交通の便が悪い、あるいは買い物をする店が近くにないなど、不便なところにある復興公営住宅は、多分30〜40戸は空室だと思う」として、復興事業の難しさを語った。

 自力での自宅建設を希望する世帯に向けては、宅地造成や区画整理事業を進める。2016年度で約80%が完成する予定。このほか、住まい再建に対する意向をまだ示していない市民には再調査を実施しており、野田市長は「最後の一人になるまで、一緒になって考えていきたい」とした。

 地域経済の活性化については、「三陸地域の基幹産業である水産業を再建しながら、漁村集落をいかに守るかが大きな課題。企業誘致を進めつつ、水産業の再建に全力を尽くしたい」とし、2019年ラグビーワールドカップの12会場の1つに釜石市が選ばれたことにふれ、「ラグビーを通した街づくりや、次世代の子供たちに夢と希望を与えることだけにとどまらず、『3.11』の教訓を世界に発信したい」との考えを表明した。

(取材・文:具志堅浩二)