北朝鮮の核実験や「ミサイル」発射実験など、朝鮮半島情勢が不安定化する中、アジアプレスの大阪オフィス代表である石丸次郎氏が2日午後3時から、東京の外国特派員協会で記者会見した。

 アジアプレスのサイトよると、石丸氏はこれまで、北朝鮮取材は3回、朝中国境地帯での取材は約75回を数え、800人を超す北朝鮮の人々へのインタビューを行ってきた。

アジアプレス・石丸大阪代表による北朝鮮の現状について

経済制裁は中国次第なのか?

アジアプレス・石丸大阪代表による北朝鮮の現状について

通訳:ブルームバーグと申します。

通訳:経済制裁について。それはやはり中国次第ということになるんでしょうか。

通訳:そして国境沿いの丹東について、ここ最近で例えばどういったものが行き来したりとか、それと人々の移動についてもぜひ、もし最近変化などがあればぜひ教えてください。

ブルームバーグ:Thank you.

石丸:今晩、おそらく決議されるであろう経済制裁、これまでになく非常に厳しいものになってます。で、ご存じのように今、北朝鮮の貿易相手は、90%は中国です。中国が本当に厳しくやれば相当な効果が出るだろうし、これまでのように曖昧な態度であればさしたる効果はないでしょう。

 経済制裁のポイントは大きく3つだと思っています。1つは核ミサイルを含む武器、および武器の材料になるものの北朝鮮への輸出の禁止ですね。2つ目は北朝鮮の外貨稼ぎを、これに制裁をかけて、つまり北朝鮮から物を買わないということですね。北朝鮮の外貨の稼ぎのトップは石炭、それから鉄鉱石などの鉱物資源です。そして3つ目のポイントは金融制裁です。

 この金融制裁がどの程度効果があるのか、ちょっと私もまだ予測が付きません。ただ、中国が北朝鮮の稼ぎ頭である石炭と、それから鉄鉱石などの金属ですね。この輸入を止めてしまうということは、北朝鮮の外貨稼ぎにとって極めて大きな打撃になるのは間違えないと思います。

 で、今、ご質問がありましたが丹東という、ちょっと地図を見ていただきましょうか。ここですね。ここが丹東ですね。平壌からずっと北上して中国に出る大動脈になります。この丹東からはもう、本当にあらゆるものが北朝鮮に入っていきます。で、北朝鮮の今、中国からの輸入品というのは原油がまずありますね、原油。それで大きなもので言うと電子機器があります。それは携帯電話であるとか、コンピューターであるとか、電気機械ですね。それから車ですね、自動車。この辺のものは丹東に行けば見ることができると思います。

 しかしながら北朝鮮からの輸出の稼ぎ頭である石炭というのは、丹東ではなくて港からの船積みですので、丹東行ってもそれは見えないです。中国側、大連が多いというふうに聞いています。

 それからこの、これ非常に大事なところなんですけれども、経済制裁をして石炭、あるいは地下資源を仮に止めたとします。で、これは金正恩政権の収入が減るということを意味しますが、北朝鮮国内の経済にとっても極めて大きな影響を持つと思っています。今の北朝鮮というのは、もうほぼ食料配給制っていうのは崩壊をしています。一般の人たちは市場経済活動をしてなんとか食べているという状況です。

 じゃあ、ちょっと地図を見ていただけますか。ここに平壌がありますね。この北側の平安南道というところに大きな炭鉱がたくさんあります。ここに非常に質の高い無煙炭、煙の出ない無煙炭があって、これを中国にたくさん輸出してます。一応これは国営の炭鉱なんですけれども、しかしながら現実には今、かなりの部分が市場経済的な運営をされています。ですからここの炭鉱の中に、たくさんの小さな会社があって、それが実際に石炭を掘り、そしてトラックに載せると、ダンプカーに載せるという、そういう業務をしています。今度はダンプカーの会社があります。運輸会社があります。で、これが港まで石炭を運んでいくわけですね。そして船積みします。今度は船会社が中国まで運んでいくわけですね。

 ですからこの石炭輸出で、非常に裾野が広いといいますか、非常に多くの人が食べている現状があります。で、この、またその人たちが食べている、言ったら現金収入ですね。この現金収入は中国で売り上げた輸出額から当然回ってくるわけです。ですから中国を輸入をもし止めたら北朝鮮国内で石炭がだぶつくと思います。おそらく2009年だったかと思いますが、金正日氏が石炭輸出を減らせと指示をしたことがありました。それを国内に回せという指示だったんですね。そのために北朝鮮国内の石炭の値段が暴落しました。非常に多くの人が泣いてましたね、そのとき。

 それから、経済制裁の項目の1つに航空油ですね。航空油それからロケット油の北朝鮮への輸出禁止というのが出ています。これはもちろん飛行機を飛ばすのに支障も出るでしょうけれども、北朝鮮の一般庶民の経済にも大きいというか、それなりの影響が出てくるでしょう。航空油というのは私もよく知らなかったんですけれども、灯油なんですね。灯油に近いもんらしいですね。北朝鮮、今、電気が地方都市、非常に劣悪な状況です。晩も真っ暗です、多くの都市が。で、明かりが欲しい人はこの航空油を使います。中国製のろうそくより安いんだそうです。

 で、これがどこから出てくるかというと、軍隊が横流しをするんですね。清津、ちょっと地図を見ていただけますか。ここですね。この付近に空軍の部隊があるそうです。大きな飛行場があるそうです。晩になると兵士たちが飛行機から油、航空油を盗んでいくそうです。で、これが市場に流れて皆さんが明かりをともす油になっているそうです。

 というように今、北朝鮮が昔の計画経済っていうのもほとんど、社会主義的計画経済というのがほとんど崩壊している状況の中で、市場経済が非常に発達していると。ここに経済制裁の影響がかなり出てくるだろうと思います。つまり不景気になるだろうと、景気が悪くなるだろうと思います。それと外貨が減りますね。外貨収入が減りますから。そのために朝鮮ウォンの価値が下落して、インフレが起こる可能性が非常に高いと思います。ペーパーにちょっと書きました。もうすでに物価の上昇の傾向が出始めています。白米の値段が2月の下旬で3800から4300、豚肉も上がってますし、人民元のレートも上がってます。

 ですから、私の現段階の予測なんですけれども、ちょっと金融制裁のことはまだ分かりませんがこの貿易の制限のことで言いますと、イランのような状況になるんではないか。経済制裁下に置かれたイランのような状況になっていくんじゃないかと思います。イランでも経済制裁下でインフレが非常に進行しました。イランの、あれはリアルかな。非常に価値が落ちました。北朝鮮もこれからウォンの価値が落ちてインフレが進行していく可能性があると思います。