[写真]ユーモアも交えてISSでの仕事や生活の様子を語る油井亀美也さん

 国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在し、昨年12月に帰還した宇宙飛行士の油井亀美也さんが2日夜、日本科学未来館でトークイベント「みんなでひらく宇宙のとびら 油井飛行士から未来のきみへ」(同館と宇宙航空研究開発機構が主催)を開いた。油井飛行士は、ISSでの仕事や生活ぶりを報告した後、「どんどん遠くに行きたい」と宇宙での今後の夢を語った。質疑応答では、今まで役に立った経験について「家の手伝い」と答えるなど、子どもたちの質問に丁寧に答えた。

【中継録画】宇宙飛行士の油井亀美也さんが日本科学未来館でトークイベント

帰還時は「本当に帰りたくなかった」

[写真]イベント冒頭には宇宙飛行士の“先輩”である日本科学未体館の毛利衛館長が登場し、油井さんは恐縮しきりだった

 油井飛行士は、2015年7月から12月までISSに長期滞在。イベントでは、この長期ミッションで行った仕事や感じたことについて、ビデオ映像も交えながら紹介した。

 地球からの打ち上げ日は7月23日。「ロケットを見て緊張したが、中に入ると訓練と同じなので緊張はおさまった」と振り返った。ISSでは、たんぱく質の実験や植物を育てる実験などに携わった。

 ロボットアームを使い、宇宙ステーション補給機「こうのとり」を捕獲する操作を行った時については、「失敗したらISS計画全体の見直しが必要になるので緊張した。こうのとりをつかんだ時はホッとした。地上からのサポートと訓練のたまもの」と振り返った。こうのとりを再び放出する際には、ロボットアームが一時動かなくなるトラブルに見舞われたものの、訓練通りに対処してミッションを終えたという。

 ISSでの平日の仕事時間は合計8時間。分刻みのスケジュールで動かなければならず、「トイレの時間は仕事を早く済ませることで作った」と飛行士の多忙さを強調。土曜日は半日、日曜は終日休みだが、運動は筋力が衰えないよう毎日2時間欠かさず行った。

 このほか、ISSでの掃除や散髪の様子、トイレ、就寝する場所などを写真とトークで紹介。こうした宇宙での生活を終え、地球に帰還する時は「本当に帰りたくなかった」と明かした。

地上管制からのサポートにも感謝

 トークには途中から、今回のミッションで油井飛行士と連絡を取り合い、「熱烈ラブです」と感謝してやまないJAXAの井田恭太郎フライトディレクターも加わった。井田ディレクターは、油井飛行士を「地上管制室とのコミュケーションを大切にする人」と評する。一方、油井飛行士も、ISSでの作業時に映像を地上に送り、管制室のサポートを受けたエピソードを紹介。「難しい作業のところでは、『ここは気をつけて下さい』と注意したり、固定したつもりの道具が浮いたりすると『ドライバーが浮いています』と指摘してくれた」という。

 また、油井飛行士は、今後多くの人々が宇宙に行く時代が来ると予想する中で、自らは「どんどん遠くに行きたい。(ISSの軌道上では)地球全体が見えない。まずは地球が真ん丸に全部見えるところ。そして、点に見えるようなところまで行きたい」と宇宙への憧れを語った。