北朝鮮の4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会が3日未明(日本時間)、制裁決議案を全会一致で可決した。北朝鮮事情に詳しいアジアプレス・大阪代表の石丸次郎氏は2日に行われた東京・外国特派員協会での会見で、これまでになく厳しい内容とされる経済制裁の北朝鮮への影響について、「有効かどうかは中国次第」と見通しを語った。

【中継録画】アジアプレス・石丸次郎氏が会見 北朝鮮国内の状況を語る

北朝鮮の国内経済が「悪化」

[写真]北朝鮮の国内情勢について語る石丸次郎氏

 北朝鮮の貿易相手は中国が9割と、圧倒的なシェアを占めている。石丸氏は「中国が厳しくやれば相当な効果が出るし、曖昧な態度でやれば、さしたる効果はない」と述べた。

 今回の制裁には3つのポイントがあるという。1つは核・ミサイルを含む武器や武器の材料になる物品の北朝鮮への輸出禁止、2つ目は石炭や鉄鉱石などの鉱物資源の北朝鮮からの輸入制限、3つ目は金融制裁だ。

 北朝鮮の「外貨稼ぎ」の稼ぎ頭である石炭と鉄鉱石を止めれば、「北朝鮮の外貨稼ぎの大打撃になるのは間違いない」(石丸氏)。そしてそれは、「金正恩政権の収入が減ることを意味するが、北朝鮮国内の経済にも極めて大きな影響を持つ」と分析する。

 石丸氏は、現在の北朝鮮では、ほぼ食料配給制は崩壊しているといい、一般の国民は市場経済活動をして「何とか食べているという状況」と指摘する。

 例えば、北朝鮮の中西部にある平安南道には多くの炭鉱があり、質の高い無煙炭が採れ、中国に輸出している。これをめぐって、採掘、運搬、船積みなどたくさんの「会社」があって、それによって国民が現金収入を得ているのだという。

 つまり、北朝鮮では社会主義的計画経済がほとんど崩壊している状況で、市場経済が発達してきているという。「ここに経済制裁の影響がかなり出てくるだろう。つまり不景気になる」と予測する。

 また、外貨収入が減るために北朝鮮ウォンの価値が下落して、インフレが起こる可能性が非常に高いとも予想した。それはちょうど、経済制裁下でインフレが進んだイランと同じ状況だと語った。物価上昇の兆候は既に出始めており、白米の値段が2月下旬で1キロ3800ウォンから4300ウォンに上がっているという。