先月14日、新潟市に住む中学生2人が、同級生に対して体を強く圧迫して気を失わせる「失神ゲーム」をしたとして逮捕されました。

 失神は、「脳で酸素が不足することなどにより、一時的に意識が失われ、体の姿勢が保てなくなること」を指します。その状態を意図的に作り出そうとするのが「失神ゲーム」です。小中学生を中心に、数十年ほど前から行われてきたとみられていますが、最近では動画共有サイトなどで実践法を解説する動画が拡散するようになり、安易にマネをする子どもが増えているのではないかと危惧されています。

 「ゲーム」という語感から気軽に手を出してしまいそうになりますが、その実態は、生命を落としたり脳に重大な障害を残したりするリスクが十分にある非常に危険な行為です。
なぜ危険なのか、そして、どのように対策すればよいのでしょうか。

「失神ゲーム」は何をしている?

 いまネット上などで拡散している「失神ゲーム」を見ると、そこで行われているのは「脳が働きを維持するために備えている様々な防御の仕組みを強制的に解除することで、脳の働きをストップさせる」ことのようです。(模倣行為を防ぐために、具体的な方法の紹介は控えます)

 脳は、私たちの生命を維持する、高度かつ重要な働きをしています。しかしそれを担う神経細胞は非常に繊細で、酸素が常に供給されていなければすぐに弱ってしまいます。完全に酸素が途絶えれば、死んでしまうまでに数分しかかかりません。

 そこで私たちの体には、酸素が足りなくなると体に息苦しさを感じさせたり、脳に通常より多くの血液を送ったりすることで脳を守ろうとする仕組み対応する仕組みが備わっています。

 ところが失神ゲームでは、意識的な呼吸法をしたり、外部から強い圧迫を加えたりすることによってこれらの仕組みを解除し、脳に酸素が足りない状態を強制的に作り出します。そのため、失神してしまうのです。

「失神ゲーム」はなぜ危険?

(1)転倒
 失神ゲームを行うリスクの代表的なものとして、失神により姿勢を保てなくなる(転倒する)ことがあります。通常、転倒する際には、私たちは反射的にダメージを最小限にとどめるような姿勢をとります。しかし、失神による転倒の場合はこれができません。そのため、衝撃によるダメージをまともにうけて骨折などのリスクが高まるほか、頭を強く打った場合には、何からの障害が残ってしまう可能性も考えられます。

(2)脳の神経細胞へのダメージ
 前述したように、脳の神経細胞は酸素が完全に途絶えるとわずか数分で死んでしまいます。脳に酸素が届かない状態が長引くと、重い障害が残ったり、命を落としたりするリスクがあります。また、幸いにもすぐに意識が戻ったとしても、一時的に酸素が途絶えたことにより、神経細胞に何らかのダメージが残る可能性は否定できません。一見何も変化がないようでも、繰り返し「ゲーム」を行っているうちにダメージが蓄積し、脳に何らかの障害が起きてしまう危険があります。