福島県の県民健康調査検討委員会の星北斗座長は3月7日、東京の外国特派員協会で会見した。星座長は、子どもに対する甲状腺検査や事故後4か月間の累積被曝線量を調査する基礎調査などの結果を説明。甲状腺がんと放射線との因果関係については、被曝線量が非常に少ないことなどから「放射線の影響とは考えにくい」との見解を示した。放射能の影響を証明する条件としては、「甲状腺への被曝線量とがんの発生の頻度に一定の因果関係があると証明する必要がある」と述べた。

【動画】放射線と甲状腺がんの因果関係は? 福島県民健康調査検討委の星座長が会見

福島の子どもの甲状腺がん疑いは167人

[写真]会見する福島県民健康調査検討委の星北斗座長

 福島県では、原発事故で放射線の影響をどの程度受けたのかを長期的に調査する県民健康調査を実施している。検討委員会は、同調査に対して専門的立場から助言する役割を担う。

 原発事故当時18歳以下の子どもに対する甲状腺検査については、超音波を使って甲状腺の状態を調べる検査を2度にわたって実施。星座長は、再検査の対象となったのは2度とも全体の0.8%だったこと、2015年12月末の段階で悪性腫瘍および悪性腫瘍の疑いがあるのは167人で、うち117人は手術を受けたことなどを説明した。

 また、原発事故後4か月間の累積被曝線量を計算する基礎調査では、県民の約27%にあたる54万6000人が回答し、うち99.8%が5mSv未満という結果だった。一方、星座長は「原発から離れた地域の方が線量が低い結果になっているが、天候の影響を受けるため完全に距離に依存するわけではない」とした。

 調査ではほかにも、避難を余儀なくされた県民の健康診断、生活習慣病、妊産婦調査なども実施。検討委員会では現在、中間とりまとめ案の作成中で、「できれば年度内にまとめて公表したい」との意向を示した。

放射線の影響かどうかを決着つけるには?

 質疑応答で星座長は、子どもの甲状腺がんが多発しているという指摘への見解を問われ、「多発という言葉を使って良いかどうかは考えるべきだが、これまでに知られている統計に比べて多く見つかっているという意味では事実。影響がまったくないというつもりはないし、それは繰り返し言っている」と述べる一方、「被曝線量が非常に少ないこと、がんの発見と被曝からの期間が短いこと、事故当時5歳以下の子どもからは今のところ発見されていないこと、地域ごとの差が大きくないということなどから、『放射線の影響とは考えにくい』という表現でとらえている」との見方を示した。