既存の建物を大規模改修して新たな目的に用いる「リノベーション」を活用した街づくりが、地方で広まっている。「リノベーション」は建物の改築に留まらず、使われていない既存の場所を活用して街に新たな経済活動や産業を生み、街を活性化させるところまで考えるのが特徴だ。背景には、都市の開発が建物を次々と建てる「ハード型の開発」から、街の経済や文化などの活動を活性化させることに重きを置く「ソフト型の開発」に移ってきた流れがありそうだ。

「使われていない空間をドローン飛行場に」

仙台市で開かれた「せんだい家守講座」で講師を務めた清水義次さん(中野宏一撮影)

 「今はハトしかいないこの公園に、人を集めたい」。3月6日、仙台市の東北工業大学で開かれた「せんだい家守(やもり)講座」で、参加者たちが熱気のこもったプレゼンを行う。2日間に及んだこの講座で、参加者たちは、公共空間や空き家、空き地などを活用し、確実に収益を上げる事業計画を策定した。参加者のプレゼンに対し、講師の清水義次さんや竹内昌義さん、宮本恭嗣さんから、事業の持続性や収益性について厳しい質問が飛んだ。

 参加した団体のひとつ「仙南家守舎」代表の高野裕之さん(35)は、宮城県南部にある丸森町に一般の人が気軽にドローンを操縦できる「丸森ドローンフィールド」をつくる事業を発表した。町役場と協力して、使われていない公共空間などをドローン飛行場にする計画だ。使われていない空き家もリノベーションして活用する。「ドローンで遊ぶために丸森町に子どもや家族連れが集まってくれたら」と夢を語る。

 2日間の講座を通じて、事業計画を策定した参加者たちは、今後は、具体的な事業の実施に移る。事業の実施に際し、仙台市などの地元自治体とも協議を行って実現を図っていく。

「コンテンツ型再開発」へ

 仙台市が主催したこの「家守講座」は、仙台市が進める「せんだいリノベーションまちづくり」の一環だ。仙台市の都市再開発課の洞口文人さん(31)は、仙台市が進める「リノベーションまちづくり」を次のように説明する。

 「仙台市は『支店経済』と言われ、自分たちのコンテンツが乏しいのが課題です。これからの街づくりは、ハコモノを建てるのではなく、その中の『コンテンツ』をどう充実させるかに移るべきだと考えました。リノベーションまちづくりは、基本的に建物を改修したりとかという話ではない。仙台のこれからを担うための土壌を作るために、『ハード型再開発』から『コンテンツ型再開発』へという大きな変化が起きたと言えます」