東日本大震災から5年を迎えることを受け、福島県いわき市の清水敏男市長が8日午前11時から、東京の外国特派協会で記者会見した。

 いわき市は、北部の一部が福島第一原発から30キロ圏内に入るものの、原発事故では比較的大きな影響は受けなかった。事故後は原発近くの双葉郡などから全国で最も多い2万4000人の避難者を受け入れた。 

【中継録画】原発事故で避難者受け入れ 福島県いわき市長が会見

東京オリンピックまでに世界の方々に復興の姿を見せたい

福島県いわき市・清水敏男市長の会見

清水:2020年、世界各国からこの東京オリンピックを見に来日される方がたくさんいらっしゃると思いますが、その中には被災地を見てみたいという方もいらっしゃると思います。東京から一番近い被災地がいわき市でありますので、そのときまでになんとか復興を成し遂げて、世界の方々に復興の姿というのを、ぜひいわきから発信していきたいというふうに強く決意をしているところです。ぜひ、特派員の皆さま方におきましても、東日本大震災の被災地、今後ともよろしくお願い申し上げまして、私のスピーチとさせていただきます。Thank you.

東電と国の責任に対して

通訳:事故の責任に当たる東電と国の責任に対していったいどのような気持ちをお持ちでしょうか。それとも十分な支援があるというふうに評価しているんでしょうか。

清水:ただ今のご質問でありますけども、原発事故による避難区域から避難されている方々の対応につきましては、国、あるいは福島県が対応しているところでございます。多くの方がいわき市に移り住んでいるわけでありますが、本市としては同じ福島県民でありますので、戻れる日まで一緒に頑張ろうということで、互いに励まし合っているところです。

 受け入れに際しても多くの経費が掛かりますが、いま現在、国から1人の避難されている方について4万2,000円ほど、年間ですけども交付金としていただいておりますが、この金額で足りるとは思っておりません。国に対しましては避難されている方々を受け入れている自治体に対しての財政措置については常に要請をしているところでございます。

 また、避難している方々は、いわき市に住んでいながら、いわき市の住民票を持っていなくて、かつての町とか村の住民票のままの状態が続いています。国に対しては非常時が常態化していますんで、そういった住民票の問題、税金の問題、そういった制度設計をしっかりとしてくださいと、要望をしておりますが、なかなか返事が返ってきません。

通訳:実際はどのぐらい掛かっているというふうに評価されますでしょうか。

清水:正式に積算することも難しいと思っております。例えば、ごみの問題、あるいは下水道の問題、水道の問題。避難されている子どもさんもいわきの学校に通っておりますんで、そういった経費も当然掛かるわけでありますし、なかなかこれ、算出が不可能な状況にあります。

通訳:国からの補助金、そういったようなお話になりますでしょうか。

清水:国に対しましては、常々制度設計をしっかりとしてくださいというお話をさせていただいております。例えば住民票等の問題についても、時限立法的な法律を作っていただいて、例えば2重住民票とか、そういったものを国のほうで示していただければ、ある程度市としての対応としても、しやすくなるわけでありますが、今現在はなんの方針も示されていないのが現実です。

通訳:それによってやはり人口が最近変わっているのでございますでしょうか。

清水:今回、国勢調査が行われまして、国内の自治体、ほとんどが人口減の中、いわき市はやはり人口が増えておりまして、2万から3万人増えている現状であります。今回この、人口フレームに合わせて、国から交付金がいただけるものだと思っております。

男性:国勢調査によって決まるものですね。

清水:その辺が複雑なんですけど。

通訳:犯罪について教えてください。

清水:最初の質問ですけども、避難されている方と、もともとのいわき市民との関係でありますが、これにつきましては理屈では市民の皆さんも理解はしていると思いますが、なかなか賠償の問題とか補償の問題とかの差がいわき市民と双葉郡の皆さんでは差が非常にあるものですから、その辺についての感情的なものというのはなきにしもあらずかなというふうに考えております。さまざまな課題があるわけでありますが、私と双葉郡の首長さん、町村長さんと定期的に会議を開いて、そういった課題についていかに対応していくかということを定期的に話し合っています。

 例えば、自治会費の問題があります。いわき市に住んでいる間だけでも、隣組費っていいますか自治会費っていうのがあるんですけども、それについては避難されている方々も納めてくださいということをそれぞれの町村長さんから積極的に働き掛けてくださいというようなお話もさせていただいています。私は避難しているだけだから、仮の住まいなので自治会費は払いませんっていうふうになってしまうと、そのコミュニティー自体が成り立たなくなってしまうという現状があります。

 また、市民の皆さんと避難されている方々が交流できるようにスポーツとか、あるいは文化とか、芸術活動を通して、親しくなるようなそんな施策もいま、やっているところです。また、犯罪についてのお話がありましたが、避難されている方々だけではなくて、原発の廃炉に関する作業員の方、あるいは除染に関する作業員の方、あるいは復興に関係する作業員の方がたくさんいわき市に来られておりますんで、そういった中、治安の面でも不安に思う市民の方が増えているのは現実でありますけども、かといって極端に犯罪率が増えているというようなデータにはなっておりません。