3月1日のスーパーチューズデー以降、アメリカ大統領選の民主・共和両党の指名争いはヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプの両者に絞られつつあります。代議員数でトップを走るその二人に死角はあるのでしょうか。逆に言えば、両党の他の候補者が勝ちあがるためのシナリオがもしあるとすれば、いったいどんなものでしょうか(上智大学教授・前嶋和弘)

「クリントン対トランプ」で決まり?

[写真]スーパチューズデー以降、健闘しているクリントン、トランプ氏のライバル候補。サンダース氏もその一人だ。ミシガン州でも予想外の勝利を挙げた(ロイター/アフロ)

 クリントンとトランプは3月12日時点で、クリントンは22の戦い(21州と北マリアナ諸島)のうち13、トランプも25の戦い(23州と準州のプエルトリコ、ワシントン市)の中で15州と過半数の州で勝利しています。獲得代議員はクリントンが757(2382で指名確実)、トランプが459(1237で同)となっており、それぞれ指名獲得までの3分の1程度をすでに勝ち取っています。

 判断が難しいのは、これをもって、指名争いが決定的になったかどうかという点です。

 特に、スーパーチューズデー以後の動きを見ると、民主党・共和党いずれもライバル候補もそれなりに健闘しているため、トップの二人の一人勝ちとは言えない雰囲気という点です。民主党では若者を中心に昨年末から急激に支持を拡大してきた、バーニー・サンダースが、スーパーチューズデー以後の6州の戦いのうち、ネブラスカ州、カンザス州(いずれも3月5日)、メイン州(6日)、ミシガン州(8日)の5州で勝利しました。特に、ミシガン州での勝利は予想外でもあったため、サンダースの支持の勢いは決して止まっていません。

[写真]クルーズ氏はスーパーチューズデー以降、3州で勝利。獲得代議員数はトランプ氏と「99」まで迫っている(ロイター/アフロ)

 一方、共和党の方はスーパーチューズデー以後の9つの戦いの中で、テッド・クルーズが3州(3月5日のカンザス、メイン両州と6日のアイダホ)で勝利しています。スーパーチューズデーでの代議員が多い地元・テキサス州の勝利が後押しし、8日までの獲得代議員は360とトランプとは99人の差となっており、トランプとクルーズの一騎打ちという様相になりつつあります。なかなか支持が広がらず、15日のフロリダ州予備選で勝利できないとかなり厳しくなるマルコ・ルビオも6日のプエルトリコ、12日のワシントン市では勝利しています。

 こうみると「かなりの接戦になってきた」という印象を受けるかもしれませんが、実際はクリントンとトランプがかなり有利に(いう言葉がやや控えめくらいな状況に)なっています。