アンゴラ反政府勢力「アンゴラ全面独立民族同盟 (UNITA)」の指導者、故ジョナス・サヴィンビ氏の遺族が、サヴィンビを「野蛮な人物として描いた」として、海外の人気ゲームソフト「コール オブ デューティ ブラックオプス 2(COD:BO2)」の発売元であるフランスの会社を名誉毀損などで訴えました。こうした死者を描く際、法的に問題となるのでしょうか? 日本の法律に当てはめて考えてみましょう。

問題のゲームはどんな内容?

[写真]故ジョナス・サヴィンビ氏(ロイター/アフロ)

 COD:BO2は、冷戦時代(1980年代)と近未来(2025年)の二つの時代を舞台に、レアアースをめぐる各国の対立やサイバーテロに関するストーリーが展開される戦闘シミュレーションゲームです。主人公は架空の人物ですが、登場人物の一部には実在した人物も描かれています。その一人が今回取り上げるジョナス・サヴィンビです。彼は30年以上続いたアンゴラ内戦の当事者で、反政府組織の指導者として活動し、2002年に戦闘中に亡くなっています。

 報道によると、ゲーム上でサヴィンビは、武器を振り回して反乱軍を率い、「 (敵対する) アンゴラ解放人民運動に死を!!」と叫ぶ姿が描かれているそうです。遺族側の弁護士は、「UNITA の指導者は喜んで殺戮をする大マヌケな野蛮人として描かれている」として批判し、慰謝料を求めて提訴しました。

日本の法律に当てはめると?

 まず考えられるのが、今回の訴えにもありました名誉毀損罪です。刑法第230条第2項では「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない」と定められています。つまり、死者にも名誉毀損罪は適用されるのです。名誉毀損とは、その人の社会的評価を低下させる事実を示す行為を指します。例えば「あの人は殺人者だ」というような噂を流し、これによって社会的評価が低下すると認められる場合は名誉を毀損することになります。

 では、なぜこのように「社会的評価の低下」を名誉毀損とするのでしょうか。東京新生法律事務所の浜門俊也弁護士は、保護法益の観点からだと指摘します。「死者の名誉毀損罪について、法律上何を保護するのかというと、『遺族の名誉』や『死者に対する遺族の敬愛の情』を保護するという見解もあります。しかし、通説は『死者個人の名誉』を保護すると解しています」と話し、死者のイメージ低下を防ぐことが目的だとしました。

 続けて、「死者の社会的評価の低下ですが、そのおそれ、つまり危険性があれば適用されます。一般的な感覚として低下に値するかどうかがポイントとなります(浜門弁護士)」と説明し、実際に社会的評価が下がったという事実まで求められていないことも付け加えました。