中堅出版取次の太洋社が15日、東京地方裁判所に自己破産を申請しました。昨年6月には同じく取次の栗田出版販売が民事再生法の適用を申請しています。出版不況の影響をモロに受けた形ですが、出版業界独特の業態である取次(とりつぎ)とはどのような会社なのでしょうか。

いわば返品ができる「卸」

相次いで「出版取次」が破産、出版業界独特の業態「取次」って何?(写真:アフロ)

 取次は、本を作る出版社と読者に本を直接販売する書店の間に入る事業者のことで、他の業種における卸に相当します。しかし、一般的な卸業者はメーカーから製品を買い切り、それを販売店に売るという形態がほとんどです。もし見込みが違って売れ残った場合には、卸がその在庫を処分しなければなりませんし、販売店に売った後であれば、それは販売店の責任になります。

 しかし、出版業界における流通は主に委託販売という形になっており、売れ残った分について、書店は取次に返品できますし、取次は出版社に返品することができます。この慣行が取次という独特の事業形態を形作っています(一部の老舗出版社の中には返品を受け付けないところもありますが、こうしたケースはあまり多くありません)。

書籍は典型的な多品種少量生産

「取次」は、出版業界独特の業態。いわば返品可能な「卸」

 なぜそうなっているのかというと、書籍という商品は典型的な多品種少量生産であり、しかも、本を必要とする人が、全国津々浦々に点在しているからです。例えば標準的なコンビニには2500~3000点ほどの商品があるといわれていますが、同じ売り場面積の書店には2万冊を超える本が置いてあります。よほど売れている本でなければ、同じ題名の本が何冊も置いてあるわけではありませんから、書籍がいかに多品種少量生産であるかが分かると思います。

 しかも、人口の少ない地域であっても、書籍には一定のニーズがあります。過疎地域では主に零細書店が販売を担いますが、こうした書店は在庫リスクを抱える余裕がありません。このため出版業界では、出版社が大きなリスクを負う代わりに利益は大きく、一方、取次や書店はリスクが少ない分、利益も少ないという構図に落ち着いたわけです。