日銀の黒田東彦総裁は15日午後3時30分より、定例記者会見を開催した。今回の会見は、マイナス金利導入後初の定例記者会見であり、発言が注目されていた。

【中継録画】マイナス金利発動後初、日銀・黒田総裁定例会見

金融政策決定会合の結果について

日銀・黒田総裁定例記者会見(2016年3月15日)

幹事社:まず、総裁のほうからきょうの金融政策決定会合の結果について、ご説明お願いします。

黒田:本日の決定会合では、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう、金融市場調節を行うという金融市場調節方針を維持することを、賛成多数で決定しました。資産買い入れに関しては長期国債、ETF、J-REITなどの資産について、これまでの買い入れ方針を継続することを賛成多数で決定しました。政策金利に関しては日本銀行当座預金のうち、政策金利残高に対し、引き続きマイナス0.1%のマイナス金利を適用することを賛成多数で決定しました。

 わが国の景気についてですが、新興国経済の減速の影響などから、輸出生産面に鈍さが見られていますが、家計、企業の両部門において、所得から支出への前向きの循環メカニズムがしっかりと持続していると考えています。従って総括判断は新興国経済の原則の減速の影響などから、輸出生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けているとしました。やや詳しく申し上げますと、海外経済については緩やかな成長が続いていますが、新興国を中心に幾分減速しています。そうした下で輸出は、足下では持ち直しが一服しています。

 一方、国内需要の面では設備投資は企業収益が高水準で推移する中で緩やかな増加基調にあります。個人消費も雇用、所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移しています。この間、住宅投資は昨年までの着工動向を映じ、このところ持ち直しが一服しています。以上の内外需要の下で鉱工業生産については、横ばい圏内の動きが続いています。

 先行きについては、海外経済は先進国が堅調な成長を続けるとともに、その好影響が波及し、新興国も減速した状態から脱していくと考えられます。そうした下で輸出生産は当面鈍さが残るものの、緩やかに増加すると考えられます。この間、家計、企業の両部門において、所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続し、国内需要は増加基調をたどると考えられます。このため、先行きのわが国経済は基調として緩やかに拡大していくと考えられます。

 また、わが国の金融環境は、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の効果の下で、極めて緩和した状態にあります。物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比はゼロ%程度となっております。予想物価上昇率はやや長い目で見れば全体として上昇しているとみられますが、このところ弱含んでいます。先行きについては消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面ゼロ%程度で推移するとみられますが、物価の基調は着実に高まり、物価安定の目標である、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。2%程度に達する時期は、2017年度前半頃になると予想しています。

 リスク要因としては中国をはじめとする、新興国や資源国に関する不透明感に加え、米国経済の動向や、その下での金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気物価のモメンタム、地政学的リスクなどが挙げられます。こうした下で金融市場は世界的に不安定な動きが続いており、企業コンフィデンスの改善や、人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクには引き続き注意する必要があります。

 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続します。今後とも経済、物価のリスク要因を点検し、物価安定の目標の実現のために必要な場合には量・質・金利の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じます。また、今回の決定会合では、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を円滑に運営する観点から、実務的な対応を決定しました。すなわち、まずゼロ%が適用されるマクロ加算残高について、減速として3カ月に一度見直しを行い、政策金利残高がおおむね10~30兆円になるよう運用することとしました。

 またMRFについて、個人の株式投資など、証券取引において決済機能になっていることを踏まえ、MRFを受託する信託銀行において、昨年のMRF受託残高を上限に、受託残高に相当する額をマクロ加算残高に加えることとしました。さらに金融機関の貸し出し増加に向けた、取り組みをより一層支援するため、今後、貸出支援基金および、被災地金融機関支援オペの残高を増加させた金融機関については、増加額の2倍の金額をマクロ加算残高に加算することとしました。これらの措置によって、マイナス金利付き量的、質的金融緩和の下でのポートフォリオリバランスや、金融機関の積極的な貸し出しがさらに進むことを期待しています。

 さらに昨年12月の金融政策決定会合で決定した、量的・質的金融緩和を補完するために諸措置の導入を受け、今回の決定会合では設備、人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とする、ETFの買い入れについて基準を決定しました。また住宅ローン債権の担保受け入れ制度についても具体的な枠組みを決定したところであります。以上です。