ロンドン五輪では24年ぶりの金メダルを獲得した米満(写真:アフロスポーツ)

 今日、3月18日、カザフスタンでレスリングのリオデジャネイロ五輪アジア予選が開幕するが、全階級にエントリーした日本の男子が崖っぷちに立たされている。1952年ヘルシンキ五輪で石井庄八が金メダルを獲得して以来、すべての五輪でメダルをつないできたフリースタイルとグレコローマン、男子2スタイルの五輪出場枠が、現在もゼロのままなのだ。

 レスリングの五輪出場権利は、前年の世界選手権、五輪実施年の大陸別予選、4~5月に実施される2回の世界予選で獲得できる。日本男子は昨年9月にラスベガスで開催された世界選手権で出場権利を一階級も得られなかったため、今大会で全階級エントリーし、五輪出場権の獲得を狙っている。レスリングの五輪出場方式は変更されて約四半世紀になり、まったく同じ方式では実施されていないので単純比較は難しいが、前年の世界選手権で男子のフリー・グレコ両スタイルとも出場枠がゼロとなったのは、今回が初めてのことだ。

 4年前のロンドン五輪では、米満達弘がソウル五輪以来24年ぶりの金メダルに輝いた。女子の活躍の影に隠れがちだが、男子も復活の道を進んでいたのではないのか。そのとき関係者が思い描いていた未来と今は、何が食い違っていたのか。

 今なお出場権を獲得できていない理由のひとつが階級制度の変更への対応不足だ。五輪の中核種目から外され、実施種目に返り咲くためIOC総会でプレゼンテーションをおこなった。そのなかで世界レスリング連盟は階級数の削減と男女同階級数の五輪実施を約束した。この公約を実行するため、通常ならば数年前から様子を探り合い話し合って決められる階級制度変更が、わずか数ヶ月で決定された。その結果、リオ五輪で実施される階級は下のように各スタイル6階級ずつになった。

フリースタイル-57kg級、65kg級、74kg級、86kg級、97kg級、125kg級
グレコローマン-59kg級、66kg級、75kg級、85kg級、98kg級、130kg級

 ロンドン五輪では、両スタイルとも55kg級、60kg級、66kg級、74kg級、84kg級、96kg級、120kg級の7階級だった。比べると、軽量級の数が減らされていることがわかる。日本がお家芸としてきたのは、前出の石井がフリースタイルバンタム級(57kg級)の金メダリストであることからわかるように、50~60kg台の軽量級の分野だ。その分野が狭められた。

 とはいえ軽量級が完全に消滅したわけではない。ひとつの国から選手は一人しか出場しないのだから、条件は他国と同じだ。日本と他国とで異なるのは、予定外の世代交代を迫られ、結果として次世代の育成が遅れたこと。ロシアや米国のように競技人口や選手層が厚いわけではない日本の場合、少数精鋭で計画的に育成することで、これまで世界と互角にわたりあってきた。ゆえに小さな予定の狂いが思わぬ大きな差を生み出してしまうことがある。