東芝、事業計画説明会を開催(撮影:具志堅浩二)

 東芝は18日、2016年度の事業計画説明会を開いて、これまで取り組んできたリストラの現状を報告するとともに、2016年度の業績見込みを発表。2015年度(2015.4〜2016.3)は純損失7100億円の赤字を見込むが、2016年度(2016.4〜2017.3)は純利益400億円の黒字に転換する計画を示した。

【中継録画】東芝・2016年度事業計画を発表

 不正会計問題の発覚を受け、東芝では事業のリストラなどに取り組んできた。このうち、ヘルスケア事業については17日、東芝メディカルシステムズ(TMSC)をキヤノンに約6655億円で売却することで合意した。キヤノンからの支払いは完了。TMSCの全株式は、各国の競争法の審査が終わるまで株式保有・運用会社のMSホールディングが一時的に預かり、審査終了後にTMSCはキヤノンの子会社となる。

 家電事業に関しては同じく17日、子会社の東芝ライフスタイルの株式の半分以上を、中国の家電大手・美的集団に売却することで基本合意に達した。東芝ライフスタイルの映像事業は東芝本体に移管する一方、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業は美的集団に譲渡する。白物家電は、引き続き東芝ブランドで生産、販売される見通し。なお、従業員や国内外の拠点については、維持する方向で協議中。これらを含めて今月末までの最終合意を目指す。

 パソコン事業は4月1日付で、新たに発足させる「東芝クライアントソリューション」に事業を引き継ぐ。なお、富士通やVAIOとの間で進む同事業の統合交渉について、室町正志社長は、「方向性は一致しているものの、さまざまな条件についてまだ集約ができていない状況。当社としては少なくとも2016年度の第1四半期までに決着したいと考え、交渉しているところ」と説明した。

 社員のリストラについては、18日時点で計画の1万840人よりも2980人多い1万3820人となる見込み。採用計画では、東芝本体における2017年4月入社の事務系・技術系新卒の採用を中止することも公表した。このほか、東京証券取引所に指定された「特設注意市場銘柄」の解除に向けて着実に準備を進めるとした。

 今後は、原子力発電などのエネルギー事業、フラッシュメモリなどのストレージ事業、エレベーターや空調をはじめとする社会インフラ事業に注力する。エネルギーでは、原子力発電関連事業に力を入れるほか、火力や再生可能エネルギー関連にも期待する。ストレージでは、フラッシュメモリが柱。生産体制強化に向けて、2016年度から2018年度にかけて累計で8600億円規模の投資を計画する。社会インフラは、エレベーターや空調、電池などの各事業を成長領域と位置付けている。

 これらを通じて、2016年度の全社業績は、売上高こそリストラの影響で2015年度の6兆2000億円から1兆3000億円減の4兆9000億円を見込む一方、全事業での黒字化と、純利益400億円の黒字化を見込む。2018年度の暫定目標としては、売上高5兆5000億円、純利益1000億円を掲げている。

 質疑応答では、フラッシュメモリ事業の投資リスクについて、室町社長は「投資は慎重に考えねばならないが、シェアを維持するためにある程度資源投入が必要」とする一方、「それぞれの案件について小刻みに投資を判断していく」と、市場動向などを見極めてその都度判断する姿勢を示した。

 また、白物家電事業の譲渡については、「長年東芝を支えてくれた事業。その株の過半を移譲することは忸怩たる思いだが、ただ一定の資本を持つつもりであり、美的集団も東芝ブランドの維持については明言している」などとした。また、白物家電のコマーシャルはほぼ終息させる見込みだが、「『サザエさん』のコマーシャルは引き続き継続したい」と述べた。

(取材・文:具志堅浩二)