英国政府は子どもの肥満防止を目的として、飲料に含まれる糖分に課税する、いわゆる「砂糖税」の導入を決定しました。税制によって国民の健康を管理しようという試みですが、果たしてうまくいくのでしょうか。

砂糖税導入で肥満は減らせる?

砂糖税導入で肥満は減らせる?(写真はイメージ、提供:アフロ)

 砂糖税の対象となるのは、100ミリリットルあたり5グラム以上の糖分を含む飲料で、課税は2018年4月から実施されます。税率は正式に決まっていませんが10%程度になる見込みです。同じような課税はフランスやメキシコなどでも行われています。

 こうした商品に税金をかければ販売が抑制されることはほぼ間違いありません。メキシコでは砂糖税の導入によって飲料の売上げが1割程度減少しました。英国においても、販売総量という意味では、同様の減少が見込まれています。

 しかし、このような形で特定の商品に課税することについては賛否両論があります。課税によって商品の売上げは減少しますが、本当に肥満が問題となっている人が購入を控える保証はありません。むしろ健康に気をつかっている人がさらに購入を抑制し、そうでない人の消費は減らない可能性があるわけです。また砂糖の過剰摂取は飲料だけが原因ではありませんから、特定の商品だけを狙い撃ちすることはフェアではないという意見もあるようです。

 

日本での砂糖税の導入の可能性は?

 健康上の問題から課税が強化される代表的な商品といえば、やはりたばこでしょう。英国では極めて高額のたばこ税が課せられており、値段は1箱2000円近くになります。たばこは国民の健康を害し、公的医療保険の財政を悪化させる元凶と認識されているようで、砂糖税の導入についても、公的保険の財政問題という視点が大きく影響しているものと思われます。

 一方日本では、たばこ税はむしろ貴重な財源として認識されているかもしれません。消費税の軽減税率導入の議論では、財源のひとつとしてたばこ税の増税が検討されました。厚労省などでは、国民の健康維持という観点からたばこ税の増税を提案していますが、全体として見た場合には、課税によって消費を減らすのではなく、むしろ数量を維持することで安定財源にするという考え方が優勢です。

 英国では、行き過ぎという面はあるものの、公的医療保険の維持という点では一貫しています。日本では財源とみなす一方で、公的医療保険という観点では抑制を目指すなど、ちぐはぐな対応にも見えます。

 良くも悪くも、こうした状況ですから、日本で砂糖税の導入が本格的に議論される可能性は今のところ低そうです。

(The Capital Tribune Japan)