選抜甲子園の大会第4日目、第1試合(23日・甲子園)に大阪桐蔭のプロ注目の大型左腕、高山優輝が登場。土佐を相手に8イニングを2安打、8奪三振の無失点に抑え、9点の大量リードをバックに、9回は徳山にバトンを渡す余裕のピッチングで2回戦へ駒を進めた。

 西谷監督の指示で、ストレートは平均130キロ台に抑え、カーブ、スライダー、スプリットの変化球を軸にした軟投派のスタイル。ピンチらしいピンチは、二回に連打を浴び無死二、三塁とされた場面だけだったが、落差のあるフォークで三塁ゴロ。四球を挟んで満塁になったが、スライダーでハーフスイングを誘っての三振。アウトカウントを増やし9番の和田には全球ストレートで勝負して、最後は133キロのストレートでセカンドゴロに打ち取った。それ以降は、二塁を踏ませなかった。

 ただ、昨秋の神宮大会で記録した150キロのストレートは封印したままだった。「球速は出ていなかったがよかったと思う」と、高山自身は、どこ吹く風だったが、ネット裏のスカウト評は「?」だった。

 180センチ、70キロの長身細身の体形が、大阪桐蔭の先輩である阪神、藤浪晋太郎を彷彿させるため『左の藤浪』とも呼ばれているが、元ヤクルトのスカウト責任者で、古田敦也氏らを発掘した名スカウト、片岡宏雄氏は、その比較論に待ったをかけた。

「初戦の緊張感もあったのだろう。ストレートの平均は130キロ台。センバツはスピードが出にくいが、力むことを避けて変化球とコントロール重視のピッチングを心がけていた。だが、その割には下半身が安定せずに、ステップの膝から上体が流れ、球道が定まらなかった。大型の投手にありがちだが、まだ下半身ができていないので、“”1、2の3”の“の”の我慢ができない。大阪桐蔭の先輩で、身長も高いので“左の藤浪”とも言われているらしいが、まだ比較するのは可哀想だ。現時点では、その称号は間違っているだろう。
 藤浪は、3年春の時点でもう下半身に安定感があった。ワンテンポ遅れて上体が動くような強さがあったが、高山はまだまだ」

 上体が流れる不安定なフォームが課題だと指摘するが、そのポテンシャルは目を引くという。

「夏にむけて下半身がどれだけ出来上がってくるか。鍛えれば伸びシロはある、スピードも出るし、変化球も切れてくるはず。腕の振りは素晴らしく、無理がない。しかも打者の近いところでリリースする。球持ちがいい。素材としては間違いなくドラフト1位クラスだ」

 各球団のスカウトが選抜でチェックしているのは、ひと冬越えての成長度と、夏に向けての現状確認。4年ぶりの優勝を狙っている大阪桐蔭は、チームのピークを作るのは、まだ先。高山も「次はストレートで勝負できるピッチングをしたい」と、本格派へ戻すことを宣言。西谷監督から全力投球指令が出る頃には、またスカウトの評価も変わるのかもしれない。
   

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