幹部自衛官を養成する防衛大学校の卒業生のうち、自衛官に任官しない(任官拒否)人が昨年との比較で倍増していることが明らかとなりました。民間企業に就職した場合には、学費などのお金はどうなるのでしょうか。

入学金、授業料なし 毎月10万円の給料も

防衛大学のホームページ

 今年の春に防衛大学を卒業する予定となっている419人のうち、47人が自衛官に任官しない意向を示していることが明らかとなりました。昨年は25人でしたから、ほぼ2倍に増加したわけです。防衛省としては、景気動向などが影響しているとの見解のようですが、一部からは安保法制の成立が影響したという意見も出ています。

 防衛大学は、大学という名前になっていますが、文部科学省が所管する一般的な大学とは位置付けが異なります。防衛大学の学生は、入学した時点ですでに自衛官という身分ですので、入学金や授業料というものは存在しません。また毎月10万円程度の給与ももらえます。一般的な公務員や民間企業では、入省・入社後の教育はすべて役所や会社持ちですから、これはある意味で当然のことといえるでしょう。

学費相当額を返納する法案は成立せず

 ただ、防衛大学の卒業生が民間企業に就職することについては、一部から批判の声が出ているのも事実です。防衛大学の卒業生は、一般的な大学の卒業資格と同等の「学士」の資格が得られます。また防衛大学は難関ですから、卒業すれば、世間一般でいうところの一流大学卒と同じ待遇で就職することが可能です。民間企業側も、人材として高く評価していますから、防衛大学に入ることは、場合によってはタダで一流大学卒の肩書きが得られる方法にもなるわけです。

 こうしたこともあり、2012年には任官拒否者に学費相当額を返納させる自衛隊法改正案が国会に提出されましたが、成立しませんでした。

人には向き不向きが……防衛医科大は返済の例外

 あらゆる職業に共通ですが、人には向き不向きというものがあり、入学後、あまり向いていないと自覚した人を無理にその仕事に就かせるというのは考えものです。特に自衛官は安全保障を担う仕事ですから、嫌々続けることには大きな弊害があるでしょう。

 91年には湾岸戦争の影響でやはり任官拒否が94人にも達したことがありました。今回の任官拒否者が安保法制を理由にしているのかは不明ですが、仮にそうだったとしても、危険な任務が合わないと判断した人を無理に自衛官にすることは自衛隊にとっても国民にとってもよい結果をもたらさない可能性があります。

 もっとも、自衛隊の幹部養成学校がすべて同じシステムというわけではありません。医科幹部を養成する防衛医科大学の場合には、卒業後9年以内に離職した場合には、学費を返済する義務が設定されています。

(The Capital Tribune Japan)