原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日、東京の外国特派員協会で会見した。東京電力福島第一原発の廃炉作業で生じる放射能汚染水について、田中委員長は「排出基準以下になったものは海に放出することを推薦している」としたほか、大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分決定を下したことについては、「仮処分決定が出たからといって、現在行っている規制の中身を変える必要はない」などと主張した。

【中継録画】原発事故の再発防止は? 規制委の田中委員長が会見

排出基準以下の汚染水は「海洋投棄が妥当」

[写真]会見する原子力規制委員会の田中俊一委員長

 2012年9月に原子力規制委員会が設置されてから約3年半が経過した。委員長を引き受けた理由について、田中委員長は、「福島県出身で、原子力に50年以上携わった人間として、福島の人々の被害をできるだけ元に戻すために最大限の努力をしたい、というのが引き受けた時の大きなモチベーションだった」と説明。就任当時、「原子力の安全規制は、福島第一原発事故によって99%の人々からの信頼を失ったと思った」と振り返った。2013年7月には、原発の新たな安全対策の基準(新規制基準)を策定。今までに26の原子炉を審査してきた。

 廃炉に向けて取り組む福島第一原発について、田中委員長は、「大きな事故が今後起きる心配はほぼなくなってきている。これから計画的に廃止措置を進める段階に来ていると評価している」などと現状を説明した。

 廃炉過程で生じる放射能汚染水については、「アルプスという装置で処理して、排出基準以下になったものは海洋に投棄することをレコメンド(推薦)している。トリチウムはなかなか除去できないので、希釈して廃棄することになると思う。国際的にみてもトリチウムの除去は技術的にほぼ不可能に近く、どこの国も排出している」として処理済みの水は希釈して廃棄するのが妥当と主張。また、青い水の入った小さなガラス瓶を掲げつつ、「福島第一原発に内臓されているトリチウムの量は3400兆ベクレルだが、トリチウム水に換算すると57ミリリットル」として、トリチウムの除去の困難さを訴えた。

 汚染水の放出については、質疑応答でも安全性を懸念する質問が出たが、「水を使わないで廃炉を進めるのは不可能。国際的な基準よりも厳しく、影響がほとんどないレベルをさらに下回るよう排出基準を決めた。それ以外に方法がなく、全体としてのリスク低減につながると私たちは判断している」と述べた。