全国の土地の価格を示す公示地価が8年ぶりに上昇に転じました。訪日客の爆買いなどの影響が大きいといわれますが、日本の土地はこれから上がっていくのでしょうか。

そもそも「公示地価」とは、どんな指標?

公示地価が8年ぶりに上昇(写真はイメージ、提供:アフロ)

 国土交通省は22日、2016年の「地価公示」を発表しました。「地価公示」は、全国の決められた地点(今回の対象は2万5270カ所)における、1月1日時点の土地価格を調査したもので、毎年3月に発表されます。「地価公示」は、土地取引の価格を適性化するために導入されましたが、現実の売買価格は公示価格からかい離することがほとんどです。したがって公示価格がそのまま売買価格というわけではありません。

 ただ、公示地価は毎年同じ方法で調査が行われていますから、価格動向をつかむには適しています。公示価格を見る場合には、その絶対値ではなく、変化に着目した方がよいでしょう。

 また公示価格とは別に、国税庁が算出している路線価という指標も存在します。相続税や贈与税における評価額の基準となるもので、算出の方法も異なります。つまり、同じ土地に対して、路線価、公示価格、実勢価格の3種類が存在しているわけです。縦割行政の弊害であり、非常に不便ですが、国民の側は利用目的に応じて使い分けるしかありません。

もしかしてバブル? 今年の公示地価、これまでにない傾向とは?

 今年の公示地価では、これまでにない顕著な傾向が見られました。土地全体で価格が上昇したのは8年ぶりですが、これは商業地の価格上昇が大きく寄与しました。しかし価格の上昇には偏りが見られます。商業地は0.9%の上昇となる一方、住宅地は今年もマイナスでした。商業地の価格上昇は大都市圏でより顕著となっていますが、これはホテルの稼働率が上昇したことなどが大きく影響しているといわれます。つまり、お金になるところの地価は上昇する一方、お金にならない住宅地は下落が続いているという構図です。

 土地価格が上昇に転じたことで一部からはバブルを懸念する声も上がっているようです。しかし、バブルというのは非常に曖昧な概念で、どこを基準にするのかでその見方は大きく変わってきます。

 東京の銀座など、リーマンショック前の水準に戻ったところもありますが、2008年との比較では、全体として住宅地は14%下落、商業地は18%下落したままです。さらに時代をさかのぼって80年代のバブル経済を基準にすると、住宅地は半分以下、商業地は何と4分の1の水準のままとなっています。日本の土地価格がピークだった1991年以降、住宅地と商業地で前年を上回ったのは、2007年と08年の2回しかありません。つまり過去25年間、土地価格はほとんど下がりっぱなしだったわけです。

 土地の価格は株式などと同様、最終的には将来の期待収益で決定されます。日本経済が今後成長軌道に乗るのだとすると、今の水準はバブルではありませんが、もし日本経済が今後、縮小していくのだとすると、すでに割高な水準なのかもしれません。マイナス金利政策の導入で、不動産に対して過剰に資金が流入するという見方もあり、今後の動きには注意が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)