“物創り”がまた面白くなってきました

 自身の背景に思いを巡らせながら、そこから続いている、繋がっている現在進行形の進化した“今”の音を鳴らす。そこには「音楽的にも自分がどういうところに行きたいのかとか、行くべきかとか」ということに対する自問自答もあったという。
 けれども、それは苦悩にとどまらず、音楽制作における新たなトライをすることでの楽しさも改めて実感できたようだ。

 「非常に自由な創り方をしていますね、曲創りは。例えば、“ヴァース・ブリッジ・コーラス”みたいなセオリー通りの形ではなくて、ヴァースができたら次のセクションは全然違うシーンが出てくるとか。色んなシーンが1曲の中にあってもいいと思うし、ルールに沿ったやり方じゃなくてもちゃんと形になりますし。だから物創りがまた面白くなってきましたね。レコーディングしていても、自分の中の枠を取っ払ってやっているので、結構ラクにもなってきたし」

 セオリーやルールに捉われない、約束事をあらかじめ決めない、純度の高い閃き(ひらめき)が音となり、旋律となる。そのハッとさせられるような展開や構築は、アルバムの楽曲の中で最初に生まれたというタイトル・チューンの『enigma』、組曲のような『Vermillion Palace』、そして突然意表を突くかのようにレゲエのセクションが飛び出しくる『Under The Sun』などに顕著に表れている。

 「『Under The Sun』なんかは分かりやすいかもしれないですね。ずっとマイナーな感じで曲が進んでいくんだけど、いきなりレゲエみたいなセクションが表れるっていう。最初は“ホントにこれでいいのかな?”とも一瞬思ったりもしたんですけど、自然な流れで出てきたものはそういうふうに展開すればいいだろう、自由に続けていくっていう感じがいいんじゃないか、って。ひとつのチャレンジとして面白かった楽曲ですね。あと、全体的な方向性としては少しプログレッシブな感じのところにいきたいなという気持ちもありましたし、ツアーで大きな会場でライヴをやるのでスケール感のある楽曲創りというのも意識していました」

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