撮影:高橋邦典

 日の出が近づき、空が薄っすらと白み始めると、仏塔のまわりに腰を下ろして祈る僧たちの姿が浮かび上がる。仏陀(ぶっだ)が悟りを開いたとされる菩提樹のまわりに建てられたマハボディ寺。インド東部ビハール州にあるこの寺には一年を通して多くの仏教徒や観光客が訪れる。しかし以前は多かった日本からの訪問者はめっきりその数を減らし、目立つのは韓国やタイからの団体だ。

 「仕事がなくなって苦しいよ」

 日本語ガイドとして働く地元の若者の一人が愚痴をこぼした。彼らは日本人ラッシュの時代に日本語を学び、そこそこ稼いでいたというが、それももう一昔前の話になってしまった。日本語は達者だが、英語はほとんどダメだから他国からの訪問者を相手にできず、つぶしがきかない。

日本の不景気と海外旅行離れは、意外にも仏教の聖地で働く若者たちにも影を落としていた。(2014年12月撮影)

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フォト・ジャーナル <インド その5>- 高橋邦典 第34回

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