陰謀・策略・愛憎が絡み合う、痛快サスペンス『ハウス・オブ・カード 野望の階段』 (C) Netflix. All Rights Reserved.

 2015年9月より日本でもサービスを開始した定額制動画ストリーミング配信サービス「Netflix」が制作したオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』が話題になっている。本作は、映画『セブン』や『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャー監督と、オスカー俳優ケヴィン・スペイシーがタッグを組んだことでも注目を集めたが、Netflixが制作して公開されたオリジナルドラマシリーズがエミー賞3部門を受賞するという快挙を成し遂げ、映像という媒体の特性が大きく変化したドラマという歴史的意義も加わった。

 そんな注目作の最新シリーズ「シーズン4」を含む全シリーズが「Netflix」にて一挙配信中。世界中で“ドはまり”する人が続出中の『ハウス・オブ・カード』の魅力に迫る――。

放送作家・鈴木おさむがハマる『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

緩急自在の“悪”の戦慄

あらゆる陰謀や策略を練り頂点へ登りつめていく (C) Netflix. All Rights Reserved.

 物語の舞台はアメリカ・ワシントン。ケヴィン・スペイシー演じるフランシス・アンダーウッドは、アメリカ下院議員会で民主党内幹事を務める野心家だ。支持していたギャレット・ウォーカー大統領候補が見事に誓願成就したものの、約束されていた国務長官のイスを反故(ほご)にされる。

 屈辱的な処遇を胸に秘めつつ、静かに復讐の狼煙を上げ、あらゆる陰謀や策略を練り頂点へ登りつめていくというストーリー。

 何よりも本作の魅力となっているのが、フランシスのキャラクター。良薬というよりは劇薬の危険性だ。絶対的な“権力”を背景に、ときには強引に、そしてときには非常に巧妙なやり方で目的を達成していく姿には戦慄(せんりつ)すら覚える。フランシスに翻弄されていく人々も、力に抗いながらも、心の奥底では“権力”の持つ甘い蜜に憧れ、服従していく。そんな人間の弱さに共感したり、フランシスの頭脳戦に痛快な面白さを見出したりしてしまう人は多いはずだ。
 
 また「第四の壁を破る」演出も、本作に感情移入してしまう一つの表現方法だろう。ドラマの中でフランシスは自らのもくろみを見ている観客に教えてくれるのだ。ほとんどが邪悪な本音なのだが、理論的かつ素直な心情であるため納得してしまう不思議さがある。