[図]日本国内の主要な活断層の分布(地震調査研究推進本部サイトより)

 詳しく調べられているところでは、今回地震を起こした布田川(ふたがわ)断層と日奈久(ひなぐ)断層のように、場所ごとに別の名前がついていますが、全体としては中央構造線は日本で最長の活断層の一部なのです。中央構造線全体の長さは1000キロを超えます。

 この大断層の西端に近い熊本や大分で地震を起こした今回の地震は、この大断層の上で日本人が体験して被害を生じた地震としては最初の地震でした。

 過去数千回以上にわたって地震を繰り返し起こしてきたとはいっても、この長大な活断層が起こした地震を日本人が体験して史実として書き留めた例はなかったのです。日本人が住み着いたのは約1万年前、記録を残しているのはせいぜい1000~2000年ほどなので、この大断層が地震を繰り返してきた時間のスケールに比べて、人間の時間のスケールは、あまりに短いのです。

次は愛媛? 懸念される「地震の連鎖」

 ところで、このような長大な活断層群のうちのある部分で地震が起きたことは、同じようにエネルギーが溜まっているその隣の部分にとって“留め金が外れた”ことを意味します。つまり、地震が起きた部分の隣で、地震が起きやすくなるのです。世界的にも、この種の「地震の連鎖」は、いままでに何か所かで経験されています。

 いちばん有名な例は、トルコの北部を走っている北アナトリア断層で、1000キロの長さにわたって、大地震が次々に起きていったことがあります。全体を動き終わるのに約60年ほどかかりましたが、なかには1942、1943、1944年と、短い間に次々に起きていったこともあります。

 今回、中央構造線のうちの熊本の部分で地震が起き、2日後に阿蘇に、そして大分に、と地震が広がっていったのは、この理由なのではないかと考えられます。17日くらいから熊本の地震が起きた南西側に震源が延びてきたのも、これと同じ事情だと思われるのです。

 ところで、熊本から阿蘇、大分へ連鎖が起きていったのですが、心配なのは、その次は愛媛なのです。ここには、中央構造線のすぐ近くに伊方原発があります。また、逆に熊本から南西に中央構造線をたどると鹿児島県に入るのですが、ここは川内原発からそう遠くはないところなのです。

 地球物理学者としては、「連鎖の次」を恐れざるを得ないのです。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします