東日本大震災後、被災三県の産業構造にどんな変化があったのでしょうか。(写真は岩手県大槌町の水産加工施設。Natsuki Sakai/アフロ)

 2011年3月11日に起きた東日本大震災は、東北地方を中心に大きな被害を与えました。発生から5年。被災3県と言われる岩手県、宮城県、福島県は少しずつ復興の道を進んでいますが、その姿を経済センサス−基礎調査から見てみましょう。震災前の2009年と震災後の14年の数値を比べることで、それぞれの産業構造の変化が浮かび上がってきます。

建設需要が顕著な岩手県

岩手県では、高台移転など建設作業の需要が高まっている(写真は大槌町。Natsuki Sakai/アフロ)

 岩手県は、総合工事業や建築工事業の従業者数増加が目立ちます。総合工事業は約3400人、建築工事業は約2300人増えています。

 防潮堤や復興道路、高台移転など建設作業の需要が高まっているのが要因で、建設業の有効求人倍率は高止まりしています。ただ、建設業の事業所数そのものは逆に480減っています。

 岩手県の「いわて建設業振興中期プラン」によると、復旧・復興事業のピークは2015・2016年度と想定。復興後の県内建設投資額は震災以前の水準まで減少すると予測しています。そのため、県は地元建設業者に対し今後合併などの企業再編や転業、撤退に向けた取り組みも支援していくとしています。

 復興特需に湧く建設業の一方、農林漁業に従事する従業者数が大幅に減少しています。全県で約2900人が減少しており、特に津波被害が甚大だった沿岸部の減り幅が大きくなっています。宮古市では漁業の従業者が185人、大船渡市でも103人減っており、特に水産養殖業の減り幅が大きくなっています。農林漁業については経済センサスのデータに個人経営は含まれておりませんが、農林水産省の行う調査「漁業センサス」によると、岩手県の漁業経営体数(個人も含める)は2008年には5313だったのが2013年には3365に減少しています。

宮城県は自動車関連産業の復活が産業を牽引

 宮城県で動きが目立っているのは製造業です。約7000人の従業者が減少しています。中でも水産食料品製造業の従業者は約4500人も減少しています。

 一方、目立って従業者数が増えているのが自動車・付属品製造業です。約1700人従業者数が伸びています。宮城県は震災以前から自動車関連産業や高度電子機械産業の支援に力を入れていました。

 宮城県によると、震災後も工場などの復旧支援や事業所の拡大支援に注力した結果、工場の拡充などが相次いだといいます。以前から強みだった分野を更に磨いた成功事例と言えそうです。特に大衡村では自動車・付属品製造業が含まれる「輸送用機械器具製造業」で従業者数が60人から1848人に大幅に増加しました。

 そのほか、沿岸部ではレストランやバー・キャバレーなどの飲食店や娯楽業、クリーニング業など生活関連サービス業の従業者数の落ち込みが目立ちます。石巻市では飲食店従業者が約1500人、気仙沼市では約500人減少。街の活気が完全には取り戻せていない現状がうかがえます。