道新側「裁判の中で明らかにする」

 M子さんの死から2か月余りを経た昨年5月、遺族は暴行容疑などで社員2人を道警に告訴する。「ご両親は当初セクハラに関して道新を訴える気持ちはなかった。事実関係をきちんと調べて適切な処分を行ってくれれば十分で、私の事務所にも法テラス(日本司法支援センター)を通じて相談に訪れたくらいです。娘さんが亡くなって1か月以上が経過しても調査の連絡が何もないことから、道新に事実解明を委ねるのではなく、道警への告訴に踏み切らざるを得なかった」(植松直弁護士)。

 道新の態度は告訴によって硬化する。昨年6月末、遺族に「忘年会でのセクハラ行為の存在は認められなかった」という趣旨の調査結果を伝えている。社員2人はM子さんにセクハラ行為を謝罪し、謝罪文を提出しているにもかかわらず、だ。

 告訴をめぐって道警は今年2月、社員2人を函館地検に書類送検したものの、3月末に同地検は不起訴処分とした。一方、不起訴によって禊(みそぎ)を済ませたかのように、忘年会に同席した当時の函館支社長は6月、取締役事業局長に就任した。

 今回の民事提訴について、遺族側の植松弁護士は「『自分と同じようなセクハラ被害者を二度と出さないでほしい』というM子さんの遺志に加え、『何が事実だったのかを解明して少しでも娘に良い報告をしたい』というご両親の思いが込められている」。さらに「この裁判を通じて、M子さんが告発文で指摘した道新の隠ぺい体質についても追及したい」と訴えた。

 北海道新聞社経営企画局は「提訴されたことは遺憾。当社の考えは、 裁判の中で明らかにする」としている。

 なお、遺族側は検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査も申し立てている。

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