裁判所は「設置」に当たらないと判断

 報道などによると、NHK側は「『設置』とは受信設備を使用できる状態に置くことで、一定の場所に設け置かれているか否かで区別すべきではない」と、携帯電話の所持も広い意味での「設置」にあたると主張しました。しかし、裁判長は、上記のようにワンセグ携帯電話などを使った放送を規定した放送法2条14号で「設置」と「携帯」が区別されていると指摘し、この主張を退けています。

 放送法が、携帯電話のない時代に成立した法律との点に対しては、裁判長は2009、2010年の放送法改正で「携帯」という文言が加わったことに触れ、この際に64条の「設置」の定義が再検討されていないとし、これまで通りの解釈をすべきだと言及しました。

 この判決に対してNHK側は控訴しており、籾井勝人会長も定例記者会見で「ワンセグ携帯も受像器の一つだ」として、これまで通り受信料を徴収する考えを示しています。さらに、高市早苗総務相も、記者会見で「携帯の受信機も義務の対象と考えている」と発言しました。一方、NHK受信料をめぐる裁判も手がける高池法律事務所の高池勝彦弁護士は、携帯電話だけの所有者から受信料を徴収するのは解釈として難しいとして「高等裁判所でも原告の主張を認めるでしょう」と語っています。

判決が今後確定したら?

[写真]NHKワンセグ訴訟について語る高池勝彦弁護士

 もし今回の判決が確定した場合、徴収されてきた受信料はどうなるのでしょうか? 高池弁護士は、「契約無効による返還となるのではないか」とした上で、「時効があるので、5年以内に支払った分のみになるでしょう」と話します。ただ、「NHKも、実際に携帯電話しか持っていない人から受信料を徴収するようなことは、これまでしていないのではないか」とも推測しました。

 高池弁護士は、受信料制度自体のあり方にも言及しています。「契約というのは、本来は自由なものです。しかし、この受信料の契約は拒否できない仕組みとなっています」と説明。「『NHKは見たくない』と言っている人からも徴収するのはおかしいのでは?」と疑問を呈し、ワンセグ携帯に限らず、受信料制度に矛盾があると指摘しました。


■重野真(しげの・まこと) 地方紙在籍中には支局/社会部に所属し、事件事故や学術文化などの報道に携わる。現在はフリーランスの記者として、雑誌・ウェブサイトで硬派記事を執筆するほか、ネットニュースの編集も手掛けている

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