[写真]第2回テレビ討論でのトランプ候補(右)とクリントン候補。多くの時間は互いのスキャンダルをめぐる泥仕合に終始した(ロイター/アフロ)

 ついにアメリカ大統領選まで一か月を切った。民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党候補のドナルド・トランプ氏それぞれの陣営からスキャンダルが浮上し、互いへの中傷合戦が続いている。この様子がまるでインターネット動画配信サービス「Netflix」で配信されている人気ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のようだと話題になっている。米ワシントンの中央政界にごまんといる権力志向の強い面々の人間模様を描きながら、米大統領という「王様のイス」を狙って張り巡らされる様々な暴力や情報戦を描いて、それまで大国アメリカの政治情勢に興味を抱かなかった多くの視聴者をも虜にした作品だ。

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中傷と陰謀論ばかりが先行する特異な選挙戦

 「ペンは剣よりも強し」という格言は世界的に知られているが、この格言がイギリス人作家によって最初に使われたのが19世紀中旬のことだった。やがて、この格言は言葉を変えて様々な場所で用いられるようになり、のちにアメリカの第16代大統領となるエイブラハム・リンカーンは政界進出後に、「投票用紙は銃弾よりも強し」というフレーズを使うようになった。皮肉にもリンカーンは銃によって暗殺されるのだが、有権者から投票によって選ばれた議員が大きな力を持つアメリカ政界を端的に言い表した彼の格言は、21世紀の今のアメリカ政界にも十分当てはまる。

 ただアメリカ大統領選挙の場合、各州に割り当てられた選挙人をどれだけ獲得するかによって勝敗が決まるため、少し事情は異なる。大統領選挙では、実際に投票に行く有権者の数以上に、538人の選挙人に注目が集まる。勝者総取りというルールを設けている州が大半を占めているため、勝利に必要な270人の選挙人をどのように獲得するのか、つまりどの州で確実に勝利して、どの州で勝負を仕掛けるのかといった戦略を、各候補者の陣営は長い時間をかけて綿密に練っているのだ。

 今回の大統領選は11月8日に行われる。民主党からは国務長官と上院議員を務めたヒラリー・クリントン候補が、共和党からは実業家のドナルド・トランプ候補が、それぞれ予備選挙を経て党大会で候補者に選出されている。実はこの2人に加えて、緑の党とリバタリアン党もそれぞれ候補者を擁立しているのだが、実際には民主・共和の二大政党による一騎打ちというのが米大統領選の長年にわたる構図だ。

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