悲喜こもごものドラフト模様。桜美林の佐々木は背筋を伸ばし無表情のまま5球団のよるくじ引きを見守っていた。

 プロ野球ファン注目のドラフト会議が20日、都内で行われ、支配下登録指名でセ・リーグが42人、育成が11人、パ・リーグが支配下登録指名で45人、育成が17人指名された。最少はソフトバンクの4人、最多は楽天の10人。87人中、投手指名が61人と約70パーセントを占めた。さらに87人中、53人が大学、社会人、独立リーグ、専門学校で半数以上が即戦力補強に固まった。

 目玉と言われた創価大の田中正義投手には、広島、巨人、日ハム、ソフトバンク、ロッテの5球団が競合。ソフトバンクの工藤監督が引き当てた。また明大の本格派右腕、柳裕也にも、中日、横浜DeNAの2球団が競合。中日の森新監督がゲットしたが、異例の事態を招いたのは、くじを外した5球団の外れ1位。なんと一巡で指名のなかった桜美林大の佐々木千隼に5球団が競合、ロッテが引き当てることになった。
 
 高校ビッグ4と言われた履正社の大型左腕、寺島成輝がヤクルト、甲子園V投手の作新学院、今井達也が西武、横浜の藤平尚真は楽天がそれぞれ単独指名。花崎徳栄の左腕、高橋昴也は広島が2位で指名、順当に上位で消えた。サプライズと言える指名は、阪神が単独で1位指名した白鴎大の大山悠輔内野手だけだったが、ヤクルトで30年以上スカウトを務めてきた名スカウト、片岡宏雄氏に今年のドラフトを総括してもらった。

「田中については、春に故障した肩が不安視されていたようだが、おそらく確実なネタを持っている日ハムが指名するという情報を他球団は、つかんだのだろう。奇しくも、外れても冒険のできるセ、パの上位5球団が競合した。驚いたのは、佐々木にどこも1位入札をせず外れで5球団が競合したこと。史上初の珍事らしいが、田中を回避して、佐々木の指名を考えた阪神、ヤクルトらが、互いにけん制して競合を嫌がった結果、外れで残ることになった。これも情報戦争が勝負を分けるドラフトゆえに起きる珍事だ。
 もちろん、田中を引いたソフトバンク、佐々木を引いたロッテが成功したといえるが、来季のチームの補強ポイントに照らし合わせて、最も成功したのはロッテだったのではないか。佐々木だけでなく、2位、4位で大阪ガスの即戦力としての評価が高かった投手を両獲りした。3位では、地元ということもあるのだろうが、甲子園に出ていない中で最も私が評価していた島を将来を見据えて押さえた。投手6人に捕手1人の指名のバランスは褒められたものではないが、投手に限っては狙い通りの指名に成功したと思う」

 片岡氏が「最高」の評価を与えたのはロッテだ。クジで引き当てた安定感抜群の佐々木に加えて、大阪ガスの最速148キロに多彩な変化球を操る右腕の酒居知史と、185cm、81kgの体格がある大型左腕で、独特のテイクバックで打者のタイミングを外す土肥星也の2人を指名、さらに甲子園不出場組の中で、ビッグ4に劣らぬ素材である東海大市原望洋の153キロ右腕、島孝明を指名した。

 一方、片岡氏が「最悪」と評価したのは会場でブーイングさえおこった阪神のドラフト戦略だ。
   

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします