[イメージ]日本はこれから人口減少が続くと予想されている(写真・アフロ)

 1億2709万4745人――。10月に総務省が発表した平成27年国勢調査による日本総人口(外国人を含む)の確定値です。大正9(1920)年に始まった国勢調査で初めて、総人口が前回結果を下回りました。右肩上がりで増えてきた日本の人口は、今後減少の一途と推計されています。頂上から長い坂を下り始めた、まさにそんな時代の入り口に私たちはいます。この坂の行く手は、どんな社会があるのでしょう。地方は、社会保障は、子育ては、働き方は、どのようになっていくのでしょうか。

 そこで、「人口減少時代」と題した長期連載をスタートし、さまざまなデータの紹介や有識者による提言、まちのルポ、自治体首長インタビューなどを通じ、将来の日本の姿を考えていきたいと思います。

 連載第1部は、静岡県立大学長の鬼頭宏氏が「日本の人口」をテーマに執筆します。鬼頭氏は歴史人口学の視点で、人口がどのようなときに増加し、減少はどのようなときに起きたのか、30年以上にわたり、研究してきました。今回、人口を軸に、歴史を紐解きながら、少子化・経済・社会システム・都市と地方などの観点から、現在の社会・未来の日本を分析します。

 第1回は「歴史は繰り返す?―人口波動と文明の転換―」です。


人口減少の世紀

歴史人口学の視点から日本の人口の移り変わりを研究している静岡県立大の鬼頭宏学長

 2016年10月、総務省は2015年国勢調査の確定値を公表した。それによって総人口が初めて減少に転じたことが明らかになった。住民基本台帳による調査人口は2008年をピークに減少がはじまっていた。国勢調査の日本人人口も2010年調査で減少していたが、いよいよ本格的に人口減少の時代に突入したのである。

 社会保障・人口問題研究所は、35年も前の1981年11月推計で、すでに将来の人口減少を予測していた。それが今、現実のものになったのである。2012年1月推計では、中位推計でも総人口は2060年に8674万人に減少し、参考推計では2110年に4286万人になるとしている。ピークのほぼ3分の1まで人口が縮小する可能性があるというのだ。社会保障審議会人口部会では、現在、2015年国勢調査に基づいた新しい将来推計について審議している。どのような予測になるのだろうか。

 人口が縮小するだけではない。より大きな困難は、人口構造の不均衡にある。1つは年齢構造の偏り、いうまでもなく超高齢化の進行である。もう1つの問題は地域人口の不均衡である。都市部、特に東京首都圏への人口集中によって、地方圏では深刻な人口減少と過疎化、高齢化が深刻である。

 さすがに政府も手をこまねいているわけにはいかなくなって、1994年以来、数々の少子化対策を打ち出してきた。出生率は2005年を底にして、ゆっくりと上昇しつつある。しかし政府の長期ビジョンの目論見通りに出生率が回復したとしても、人口減少が止まるのは80年ほど先になる。21世紀は確実に人口減少の世紀となるのだ。「未曾有」の人口減少に直面して、私たちはどのように振る舞い、どのような未来を描いたらよいのだろうか。

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