地球は46億年前に誕生したといわれています。そして生命は約40億年前に生まれ、わたしたちホモ・サピエンスの種が初めて現れたのは、およそ20万年前。地球の長い歴史を1年に置き換えた場合、人類は12月31日午後11時半過ぎにようやく出現したと例えられるほど、わたしたち人間の歩みは実は、とても短いものです。

 人類出現まで、地球はどのように環境を変え、生き物はどのように進化してきたのか―。古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が、世界の最新化石研究について報告します。


北米アラバマより“生物40億年のメッセージ”

イメージ1.中国で発見されたプシッタコサウルスの全身骨格の標本。標本の横幅=約1m(写真提供:Jakob Vinther)

 引き続き恐竜の体の色復元について述べてみたい(前回の記事 )。今回の研究 のリーダーであるジェイコブ=ヴィンサー博士(英ブリストル大学上のホームページはこちら )は、「LIF」というテクノロジーを用いて、中生代の恐竜の色の復元を2000年以来取り組んできた。LIFとは英語のLaser-induced fluorescence からなる。

 同じ原理のものが蛍光灯やコンピューターのモニター等に現在使われているが、簡潔にいうと特殊な光線を化石標本に照射する技術だ。化石標本の調査をする際、さまざまな強度や色の光線を当てて写真撮影をすると、時としてより細かな(例えばひだや線状の)骨の表面の特徴などが、より鮮明に観察できるケースがあることは、1990年代くらいから古生物研究者に知られていた。(LIFを用いて撮影された化石イメージの例:Kaye等2015 )。

 しかしこのLIFという技術を用いて、恐竜の羽毛や皮膚の化石から直接科学的データをもとに「ボディー・カラーの復元」を試みたのは、(私の知る限り)ヴィンサー博士が初めてだ。私がこの斬新な研究をはじめたきっかけを直接聞いてみたところ、(北米イェール大学で)「博士号過程をはじめた学生時代にこのアイデアを思いついた」ということだった。

 本来は現生と化石種の無脊椎動物の研究を行っていた(ミミズやゴカイを含む環形動物類と貝やイカ等の軟体動物類の進化系統関係)。そのころ「イカのインクの色」などにも興味があったそうだ。イカのインクから羽毛恐竜の色へ。一連のアイデアへの移行は一研究者からみて非常に興味深い。まだイェール大学の学生だった頃(2008年)、恐竜時代(白亜紀)の羽毛のオリジナルの色に関して最初の論文を発表した(Vinther等2008 )。

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