永観堂放生池の紅葉(写真提供:アフロ)

 今年もまもなく京都に紅葉のシーズンがやってこようとしています。私も所用で11月初めに京都を訪れましたが、残念ながらまだ紅葉には少し早かったようです。年によって多少のズレはありますが、概ね11月の終わりから12月初めにかけて京都では紅葉のシーズンとなります。この季節に京都を訪れる観光客は急増します。4月の桜の時期同様、京都を訪れるベストシーズンと考えられているからです。

【連載】おとなが楽しむ京都

美しい桜と紅葉の季節だけど

龍安寺の石庭から臨むしだれ桜(写真提供:アフロ)

 ただ、私は少し違う考えを持っています。確かに京都の桜や紅葉は美しいですが、それ自体の美しさということで言えば、ほかにもっと素晴らしいところは日本の至るところにあります。例えば紅葉で言えば日光や東北の磐梯などの全山紅葉という雄大な美しさや奥入瀬渓流の自然に溶け込む紅葉は京都以上に素晴らしいし、桜にしても東京の千鳥ヶ淵の美しさは決して京都に引けをとりません。

 京都の桜や紅葉が素晴らしいのは単にそれ自体ではなく、周りの建物や庭とのバランスが見事だからなのだろうと思います。例えば龍安寺というお寺があります。ここは臨済宗妙心寺派のお寺ですが、とてもシンプルに石を配置した有名な方丈庭園(石庭)があります。このお庭越しに見える桜と紅葉がとても見事なのです。ここの桜はしだれ桜で開花時期が少し遅いのですが、シンプルで無機質に見える庭の塀越しに美しい桜を見ることができます。私も初めてしだれ桜の時期に龍安寺(りょうあんじ)を訪れたときは、その美しさに息を飲みました。また、紅葉も同じで、白い石の庭と対比した美しい色合いを楽しむことができます。

 ただ、これらの素晴らしい桜や紅葉も残念なことにあまりにも観光客が多過ぎるため、ゆっくりと鑑賞することができません。紅葉の名所で言えば、東福寺や永観堂が有名ですが、これからのシーズンは本当に人が多いし、夜は夜でライトアップが行われるために場合によっては昼以上に人が詰めかけ、紅葉を見に来ているのか人を見に来ているのかわからなくなるくらいです。

 当然、ホテルは取りづらく、道路は混むので京都に住んでいる人にとってはおそらくこうした観光シーズンは憂うつな季節と思っているに違いありません。私もかつて数年間だけですが京都に住んでいたことがあるので、ほんの少しその気持ちはわかります。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします