[イメージ]元気に走る子供たち。日本の出生率はやや回復したものの、まだ人口維持できる水準にはない(写真・アフロ)

 10月に総務省が発表した平成27年の国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、人口減少に転じた日本。その大きな要因の一つとなっているのが少子化です。静岡県立大学長の鬼頭宏氏(歴史人口学)が「少子化はなぜ起きたのか?」を分析します。


人口減少時代

少子化のプロセス

[図1]合計特殊出生率とこども数の推移(鬼頭宏氏作成)

 少子化や少子社会という言葉が生まれたのは1990年代初めのことである。92年刊行の国民生活白書には「少子社会の到来」のサブタイトルが付けられた。しかし、合計特殊出生率が、人口を維持できる「人口置き換え水準」を下回るようになったのはもっと早く、1974年だった。75年には2を割り込み、2005年には1.26と最低値を記録した。2015年には1.46まで回復したが、将来人口を維持できる水準からは程遠い。

 興味深いのは、合計特殊出生率が大幅に下がったのに対して、77年以後、理想子ども数、予定子ども数、そして実際に1人の女性が実際に生んだ子供数(完結出生数)には、大きな変化がなかったことである。完結出生数は過去の結果であるが、戦前の4人以上から72年には2.2人まで低下した。2015年には1.94まで縮小したが、大きな変化ではない。平均理想子ども数は1977年以後、ほぼ2.5人前後で推移してきた。実際に予定する子ども数は理想を下回るが、77年以後、2人前後で、比較的、安定している。

 合計特殊出生率が2を超えていた1970年と最低水準になった2005年の年齢別出生率を比較すると、結婚していないものを含む全女性では20−24歳、25−29歳の階級で著しく出生率が低下したのに対して、結婚しているものに関する有配偶出生率は両年でほとんど変化していない。その秘密は、著しい晩婚化が進むとともに、結婚しない男女が増えた一方、結婚したなら子どもを持つのが当然、という意識が依然として強いせいではないだろうか。

 つまり人生の上で、結婚しないというライフ・コースを選ぶ男女が増えたことが、少子化の原因なのである。日本の生涯未婚率(50歳までに結婚したことのないものの比率)は、1960年まで男女ともに2%未満で、西欧諸国と比べると格段に低く、皆婚傾向の強い地域だった。それが高度成長期から徐々に上昇して、2015年には男が24%を超え、女も15%に近づいている。