国内で不動産向けの融資が急拡大しています。2016年4~9月期(半期)の不動産向け新規融資は、バブル期を大幅に超える水準となりました。不動産価格の高騰を危惧する声が聞こえますが、金融政策という観点では、お金が回り始めているとみることもできます。果たして不動産融資はバブル状態なのでしょうか。

上半期としては過去最高水準を記録

不動産融資が過去最高水準を記録、これってバブルなの?(写真:アフロ)

 日銀が17日に発表した貸出先別貸出金の調査によると、2016年4~9月期の国内銀行による不動産向け新規融資は5兆8943億円となり、前年比で約17%も増加しました。上半期としては約5兆円だったバブル期や昨年を超え、過去最高水準を記録しています。

 もっとも、1989年度の名目GDPは約420兆円、2015年の名目GDPは約500兆円ですから、GDPに対する比率ではまだバブル期を超えていません。また、最近はREIT(不動産投資信託)など不動産に関する金融技術も発達していますから、両者を短絡的に比較することは避けた方がよいでしょう。しかし、バブル期と異なり、現在は景気が長期にわたって低迷している状態であることを考えると、不動産融資が相対的に活発であることは間違いありません。生活実感としても、最近はビルの建て替え工事があちこちで行われていることが分かります。

不動産融資が伸びたのは、マイナス金利の影響

 今年に入って特に不動産融資が伸びたのは、マイナス金利の影響が大きいと言われています。日銀は2016年2月にマイナス金利の制度を導入し、当座預金の残高の一部に対して手数料を徴収するようになりました。銀行は日銀の当座預金に資金を置いておくとコストになるため、どこかに融資せざるを得なくなります。

 しかし、不景気が続いており、企業の設備投資は低迷する一方ですから、設備投資向けの優良な融資案件はなかなか見つかりません。そうなってくると、リスクが少なく、大きな額を一気に消化できる不動産融資は銀行にとって非常に魅力的な存在となります。銀行は不動産会社に対して、ビルを建てるよう積極的に営業しているわけです。

 マイナス金利導入前の不動産融資残高の伸びは、総融資残高の伸びをわずかに下回っていましたが、2015年の年末から急激に不動産向け融資が伸び始め、マイナス金利導入後は、その動きがさらに顕著となっています。

 当座預金にとどまって動かないお金を市中にバラ撒くというのが量的緩和策の基本的な考え方ですから、その点では、マイナス金利の効果は上がっていると解釈することもできるでしょう。しかし、物価全体がなかなか上がらない中、不動産価格だけが上昇すると弊害も出てきます。こうした不動産向けの融資が、設備投資向けの融資拡大にもつながっていくのか、もう少し様子を見る必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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