劇場版『モンスターストライクTHE MOVIE はじまりの場所へ』ではゲームの世界を織り交ぜながら、ストーリーが展開していく (C) mixi,Inc. All rights reserved.

 ひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」(モンスト)がスマホアプリに誕生して3年。昨年からYouTube配信を始めた1話7分のアニメは、わずか1年足らずで世界累計再生回数1億回を突破しました。そしていよいよ12月10日から、新作劇場版『モンスターストライクTHE MOVIE はじまりの場所へ』が全国ロードショーとなります。劇場版に進化した“モンスト”が繰り広げる新たな展開をどのようにとらえるのか――。アニメに詳しいジャーナリスト、数土直志(すど・ただし)氏に話を伺いました。

THE PAGE特別企画 『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』

誰もが楽しめる まっすぐストレートな映画が「ここにあった」

 まず、作品のクオリティーの高さに驚きました。YouTubeシリーズから、話は連続しているにもかかわらず、独立した映画として完成しています。題材がゲームなので、派手な演出がある場面が、効果的に引き立ち、ワクワクしますね。また、一番のポイントは、主人公たちが幼い子供たちになったことです。キャラクターの年齢が下がると、普段の視聴者は受け入れるのが難しいはずなのに、共感しやすかった。映像もストーリーも完成度が高い、特筆すべき作品になった、非常にいい映画だと感じています。

 ストーリーはオーソドックスです。仲間と対立があり、和解があり、最後はみんなで助け合っていく。YouTubeの時から、ストレートなストーリーではありましたが、もっとダイナミックにドラマティックに描いています。今のアニメは子供向けでも、ひねったものが多いですが、この作品はストレートに面白い。親世代も楽しめる、誰もが観られる貴重な作品です。中高生のためのまっすぐでストレートなメッセージの映画が欲しいとき、「ここにあったんだ」と思いましたね。

一歩先を行った展開……YouTubeでのアニメ化、そして劇場へ

 モンストがYouTubeでアニメ化する、と決まったとき、アニメ業界には相当な激震が走りました。配信からスタートした作品での成功例があまりなかったからです。でも、そもそもスマホで遊んでいるゲームが原作なら、スマホ上でアニメと結びつけるという方法は有効かもしれない、と思いました。また、作品の時間の短さ。今まで「ネット限定」と言いながらも、テレビを意識して30分枠が念頭にありました。そこから解き放った7分の作品としたことに、驚きましたね。

 もう一点、大変驚いたのは、YouTubeの後にテレビ版ではなく、劇場版を制作した。しかも長編の完全新作です。ウインドウが変化している、と感じました。これまで日本はテレビが王様で、テレビ版から様々な展開をしてきましたが、今やテレビは「One of them」になった。従来と比べ、ありえない展開で、一歩先を行きました。

 アニメ映画の本数は大変増えています。それは、劇場が身近な存在「イベントの場」に変わってきたからでしょう。だから、この作品も、今までYouTubeやゲームで盛り上がってきた人たちが、イベントの終着点として、劇場でモンストの映画を一緒に楽しもう、というのが狙いではないでしょうか。

 映画「君の名は。」のような大ヒットもありますが、アニメは定番作品以外、単発での劇場映画企画は知名度がないため、苦戦することが多いのです。ただモンストはYouTubeで配信を続けたため、認知度はかなりある。そしていよいよ映画、と準備は整っています。そうした面でも、配信と映画を結びつけたのはいい方法です。映画によって、モンスターストライクのブランド力が、さらに上がり、モンストを愛してきた人にとってはビッグイベントになると見ています。

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