モンストは新モデルのトライになる作品

時には仲間同士でぶつかり、友情を深めながら、敵に立ち向かっていく主人公たちの成長物語に仕上がった:劇場版『モンスターストライクTHE MOVIE はじまりの場所へ』 (C) mixi,Inc. All rights reserved.

 以前は、アニメを好きな人、アニメを見ない人たち、が分断されていました。それがあいまいになり、越境してきている流れに、「君の名は。」の大ブームがある、と考えています。アニメ映画は、定番作品を除き、「10億の壁」が言われていました。アニメ映画ファンは数十万人で、それを逆算すると興行で10億円は超えられない。しかし、その数字を超える「けいおん!」や「ラブライブ!」が出てきました。「ラブライブ!」にはスマホゲームのプレーヤーが多数いる。同じことはモンストにも言えます。モンストを楽しむ人はもっと多いから、土日にシネマコンプレックスに行って、新作映画上映に気づいたら、さらに抵抗なく観るでしょう。実はアニメ映画は、中高生対象のものが欠けています。モンストはその世代に対する新しいスタンダードの映画を目指せるかもしれません。

 日本アニメは2000年前後にポケモンブームで世界に広がったのですが、2000年代後半には伸び悩んでいました。それが2010年を超えたころから、海外イベント動員数や配信再生数を見ると、人気が再燃しています。日本の深夜アニメは海外ありきのビジネスで、世界のニッチ市場を束ねることで大きくなりました。それに対してこの映画は、日本の「ど真ん中」、メジャーを狙っている作品です。ビジネスとしても、もちろん成功してほしい。いまアニメビジネスでは、「スマホゲーム」、「配信」、「劇場アニメのイベント化」、それぞれがトレンドです。モンストは、その三つが結びついて、さらに新しいビジネスモデルに変化している。未来的で、新モデルのトライに相応しい良質な作品に仕上がっていると思います。


数土直志(すど ただし)

ジャーナリスト。国内外のアニメーション関する取材・報道・執筆を行う。「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」、その後「アニメ!アニメ!ビズ」を立ち上げ編集長を務める。2012年に運営サイトを(株)イードに譲渡。


モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ
12月10日(土) 新宿ピカデリー他 全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画