物事を大きくとらえて、勝率よりも大勝ちを好むというドナルド・トランプ米国次期大統領。彼のビジネスは常に成功ばかりではなく、さまざまな事業を立ち上げるも、うまくいかなかったり、巨額な債務を抱え込んだりした経験もあります。負の経験をものともせず、トータルで勝っていれば痛くもかゆくもないので、思い悩んだり、踏みとどまったりする必要はないのでしょう。

 そんなトランプは、大胆なばくち打ちのイメージが先行しますが、意外にも投資には慎重な姿勢を貫いています。それはずるさか、あざとさか……。米国次期大統領の投資家としての一面を市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。


  勝率よりも大勝を好む

 トランプ語録の中でも最もよく知られるのが、「物事を大きく考えよ」。これはニューヨークの不動産市場で百戦錬磨のつわものを相手に戦ってきた中で体得した考えだ。『トランプ自伝』(相原真理子訳)の次の1節。

 トランプ「私は物事を大きく考えるのが好きだ。子供のことからそうしてきた。どうせ何か考えるなら、大きく考えたほうがいい。私にとっては単純な理屈だ。大きく考えるためのカギは、あることに没頭することだ。彼ら(成功した企業家たち)は何かにつかれたように何かにかりたてられるようにある目的に向かって進み、時に異常とも思えるほどの執念を燃やす。そしてそのエネルギーをすべてに注ぎ込む。……彼等を打ち負かすことは、私にはたまらない魅力を感じる」

 大物食い一勝負師にとって至福のときは気鋭の強敵をぶっ倒したときだろう。下剋上のダイゴ味は相場や投資の世界でも共通する。トランプは不動産市場で大物を相手に勝負し、市場の喝采を浴び愉悦にしびれる。

 投資家トランプは勝率を追わないで大勝ちを追い求める。9勝1敗でわずかな利益を上げるよりは、1勝9敗もプラスになるよう心掛ける。小さく負けて大きく勝つ。これは勝負師必須の基礎的要件である。

 トランプ「私はギャンブルが好きだと思われている。だが、私はばくちを打ったことは一度もない。私にとってばくち打ちとは、スロットマシンをする人間にすぎない。私はスロットマシンを所有するほうを好む。賭博場の経営はもうかる商売なのだ」

【連載】投資家の美学

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