1人当たりの経済的指標で見ると、日本がそろそろ韓国に抜かれるのではないかという話がネット上で話題になっています。日本の経済力が急激に低下していることについては、多くの人が認識するようになってきました。最大の要因は生産性の低さにあるようです。

「低所得層」とは、どのくらいの収入の人たちのことなのか

このままでは日本は韓国に生産性で追い越される

[イメージ写真]労働生産性が低い日本、このままでは経済的に韓国に抜かされる?(アフロ)

 300年以上の歴史を持ち、国宝などの修復を手がける小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は、金融アナリスト出身で日本文化財の専門家というユニークな経歴の持ち主です。そのアトキンス氏が経済メディアに寄稿し、このままでは日本は韓国に生産性で追い越され、福祉の維持もままならなくなると警鐘を鳴らしています。記事には多くの反響が寄せられたそうです。

 実際のところはどうなのでしょうか。生産性の定義はさまざまですが、日本生産性本部が算出した2015年における日本の労働生産性は7万4315ドル、韓国は6万7426ドルとなっています。まだ多少の差はありますが、日本の生産性があまり伸びていないのに対して、韓国の伸びは著しいですから、確かにこのペースが続くと日本が韓国に抜かされるのは時間の問題といってよいかもしれません。

韓国は厳しい長時間労働で豊かさを実現

 ただ、ここでいうところの生産性は就業者数をベースにしたもので、労働時間は考慮されていません。韓国は日本に匹敵する長時間労働の国として知られていますが、1時間あたりを基準にした数値で再計算すると日本の労働生産性は42ドル、韓国の労働生産性は32ドルとなり、まだまだ差があることが分かります。つまり韓国は数字の上では日本と同レベルの豊かさになっていますが、日本よりもさらに厳しい長時間労働で豊かさを実現していることになります(ただしこの統計には日本のサービス残業は加味されていません。もしサビ残を考慮に入れると日本と韓国の差がなくなる可能性もあります)。

日本の企業は儲からないことばかりやっている

出典:日本生産性本部「労働生産性の 労働生産性の 国際比較国際比較 2016年版」

 しかし日本はそれで安心してよいわけではありません。韓国は今でこそ先進国の仲間入りをしましたが、つい最近までは新興国だった国です。日本人は自国のことを先進国と認識しているはずですから、韓国と比較するのではなく、他の主要国と比較するのがスジでしょう。

 そうなってくると日本の貧しさは一目瞭然です。労働時間をベースにした生産性は、米国は68ドル、ドイツは66ドルと日本の約1.6倍もあります。労働経済白書では、日本の生産性が欧米各国と比較して低いのは、労働時間が長いこともありますが、付加価値要因が大きいと指摘しています。

 つまり日本の企業は儲からないことばかりやっており、利益が少なく、これが生産性を引き下げているのです。長時間労働になってしまうのは、職場の雰囲気にも原因がありますが、最大の要因は企業が儲かっていないことです。なかなか儲からないので利益の絶対値を確保するため長時間労働を余儀なくされているというのが実態でしょう。本当の意味で長時間労働を是正するためには、経営を変えなければならないようです。

(The Capital Tribune Japan)

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