子どもたちが食事をとるいこいの場

 子どもの貧困の問題に近年注目が集まっています。日本の子どもの貧困率は2012年には16.3%に上っており、6人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。生活困窮世帯の子どもは、家庭の養育機能の低下から、学習指導や生活習慣を身につける指導が受けられないなどのハンデを負っていることもあり、貧困状態から抜け出しにくくなっています。貧困の連鎖を断ち切るためには何が必要でしょうか。日本財団は解決策の一つとして、新たな取組「子どもの貧困対策プロジェクト」をスタート、中核施設が2016年11月に埼玉県でオープンしました。

宿題をしたりするまなびの場

 住宅街の一角にあるコンビニエンスストアの旧店舗を改装してできた新たな施設。生活困窮世帯の小学生が放課後過ごすために作られた「家でも学校でもない第3の居場所」です。都内で貧困状態にある子どもへの学習支援などで実績のあるNPO法人「Learning for All」が日本財団から委託され、運営しています。内装は木のぬくもりが感じられる板張りで、広々としたリビングに加え、「まなびの場」と呼ばれる学習スペース、食事をとったりして団欒する「いこいの場」が設けられています。台所のほか、家庭でお風呂に入れなかったり、洋服が汚れたりしている子どものためにシャワールームや洗濯機なども備えています。

 11月上旬にオープンしたこの施設には、現在男女3人の小学生が通っています。学校が終わった後施設に直行し、宿題をしたり、遊んだりして過ごします。公立学童とは違い、毎日夕食が提供されます。夕食後も保護者が迎えに来る午後8時~9時頃まで、読書をしたりして過ごします。放課後児童支援員などの資格を持つスタッフら6人が常時子どもに寄り添い、学習指導のほか、手洗い・うがいや食事のマナーなどの生活習慣指導などを行っています。

 開所から1ヶ月、最初は緊張していた子どもたちもスタッフと打ち解けてきたといいます。ある女性スタッフは「最初はここに携帯型ゲーム機を持ち込んで一人でやっていた男の子が最近は一緒に遊んでくれるようになりました。居心地が良くなったのか、信頼してくれたのか、スタッフとの関わりが増えている。手洗い・うがいの習慣も身につき、食事のときに同じものばかり食べないなどの約束事も守れるようになってきています」と子どもたちの変化を感じているそうです。

 通っている3人は生活困窮世帯のため利用料は無料。保護者の所得によっては民間の類似サービスに準じた月額基本料金がかかる場合もあります。受け入れは基本的には小学校の低学年までで、利用には施設の審査を通ることが必要です。保護者の収入のほか、家庭での生活環境など踏まえて採否が決まります。通える子どもを低学年に限り、審査を設けている理由についてLearning for Allの石神駿一・広報部マネージャー(29)は「小学校高学年や中学生への学習支援をしてきたが、ある程度成長した子どもの習慣などを正すのは難しい。指導が受け入れられやすい低学年へのアプローチがより有効だと思います。入所については定員にも限りがあるため審査しています。学校や自治体のケースワーカーなど地域と連携し、本当に支援が必要な子どもを複数の目で探して入所を呼びかけています」と話します。2017年1月末までには10人の利用が見込まれているといい、今後は新年度に入学する家庭などにも需要がないか働きかけをしていくとしています。

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